戦争で疲弊した国、新たな最前線は「台所」だった
戦争によって荒廃し尽くした国。極度の貧困の中で生きる何百万人もの家族。暴騰し続ける物価と、人々の苦境につけ込む悪徳業者たち。嘘や神話を剥ぎ取ったとき、そこに見えてくるのが独立ポーランドのもう一つの姿です。
第二次ポーランド共和国もまた戦場でした。そしてその新たな最前線となったのは、塹壕ではなく――台所、食料庫、そして都市の市場だったのです。
衝撃的な格差に満ちた時代へ
ベストセラー『占領下の台所から(Okupacja od kuchni)』の著者アレクサンドラ・ザプルトコ=ヤニツカ氏が、今回読者を案内するのは、驚くほどのコントラストに満ちた戦間期のポーランドです。
貴族たちの豪華絢たちの豪華絢爛な晩餐会の一方で、大恐慌の波は地方の家庭を直撃し、草や樹皮を口にすることを余儀なくされた人々がいました。本書はこうした時代の光と影を並べて描き、華やかな表の歴史の裏にある庶民の暮らしを浮き彫りにします。
同時に、主婦たちの生活を一変させた目覚ましい技術進歩についても綴られています。さらに、「人生を台所だけで終わらせることはない」と、従来の役割に疑問を呈したポーランド女性たちの解放の歩みも、本書の重要なテーマとなっています。
曾祖母たちの機転と、今に通じる生活の知恵
本書が鮮やかに描き出すのは、私たちの曾祖母たちの驚くべき機転、徹底した倹約精神、そして旺盛な起業家精神です。
当時の外食文化の秘密を解き明かすほか、80年前の「ストリートフード」とはどんなものだったのか、女性たちはいかにして職業労働と育児・家事を両立させていたのか――そんな素朴な疑問にも答えてくれます。
食の歴史の枠を超えた一冊
『台所からの二十年(Dwadzieścia lat od kuchni)』は、単なるポーランドの食文化史の本ではありません。今なお十分に通用する生活の知恵の詰まった実用書であり、同時に、戦前ポーランドの歴史が男性だけの手によって語られるべきものではないことの証明でもあるのです。