オランダ・ティルブルグにあるコーニング・ウィレム2世カレッジ(Koning Willem II College)は、大学進学課程(VWO)の生徒をより確実に大学生活へ備えさせるため、「サイエンス」という独自の教科を開発しました。オランダ教育・文化・科学省はこの教科に対して正式な認可を下し、来学年度からはその成績が卒業試験に算入されることになりました。
オンライン教室には長い沈黙が流れていました。同校VWO3年生の生徒たちは、グループで課題に取り組んでいます。担当のアナベル・ロメイン(Annabel Romijn)教諭が出したお題は、「生物学と物理学の両方の側面から研究できるテーマを考えよ」。なかなか答えが出ない中、ヤクブがふと思いついたように言いました。「耳だ!」。ミカもすぐに同意します。「いいね。耳そのものは生物学で、音波は物理学だ」
別のオンラインルームから授業を見守っていたロメイン教諭は、その答えに満足げです。「ほら、学校の教科はそれぞれ独立した箱ではなく、すべてつながっているのです。科学も同じこと。たとえば地理にも物理がありますよね。雨に関わる気圧差などがその例です。歴史に至っては、実質どんな分野とも結びつけられるのです」
この授業は、同校が大学進学への準備を目的として開発した「サイエンス」科目の一部です。このたび教育・文化・科学省から試験科目としての認可を得たことで、来年度からこの教科の成績が校内試験に加算されます。こうした認可を取得したのは、これまでにこの一校だけです。
本当にアカデミックな教育に備えるために
「VWO最終学年(6VWO)の生徒たちのプロフィール論文を指導していて、私たちは生徒をほとんど訓練できていないことに気づいたんです」と語るのは、新教科の基盤を築いた哲学教師のティールト・ファン・デ・ラール(Tjeerd van de Laar)氏です。「プロフィール論文は、研究能力の試金石となる総括的・教科横断的なプロジェクトです。生徒は適切な研究課題を立て、資料をもとに徹底的な調査を行わなければなりません。それをいきなり求めても、できるはずがありませんでした」
VWOは本来、科学を学ぶ高等教育への準備段階であるべきだという理念のもと、同校は5年前にこの学習プログラムの開発を開始しました。「プロフィール課題を出発点にしました。生徒に何を期待するのか。そして1VWOの時点から、その目標に向かって歩み始めたのです」
現在、サイエンス科目はVWO1年生から5年生までの時間割に定位置を占めています。4年生と5年生の内容が試験プログラムを構成しており、今回その認可を取得しました。この教科の成績は「複合成績(combination grade)」――社会科、文化芸術教育(CKV)、一般自然科学(ANW)といった中央試験のない複数教科の平均点――に算入されます。
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既存科目との違いは「幅広さ」
この科目は、既存の一般自然科学(ANW)と大きく重ならないのでしょうか。「確かに、似たような内容をANWの授業に組み込む学校もあります」とファン・デ・ラール氏は認めた上で、「しかし私たちには、それでは狭すぎると感じられました。生徒は科学というと、理科系の教科しか思い浮かべません。私たちが伝えたいのは、科学があらゆる教科に息づいているということです。地理でも、国語でも、さらには体育の中にも」と強調します。
そのためサイエンス科目は、他教科の教員の授業と可能な限り連動する設計になっています。「たとえば体育では、スポーツと音楽、あるいは食事の関係について調査します。国語では、インターナショナル移行クラスの生徒へのインタビューを通じて、バイリンガリズムについて学びます」
授業は理論と実践の融合です。「何が科学を科学的たらしめるのか。科学的知識は、他の種類の知識とどう違うのか。これはまさに科学哲学です」とファン・デ・ラール氏は目を輝かせます。「一方で、生徒たちが自力で取り組む場面も頻繁に設けています。ルールを学ぶだけでなく、そのゲームを実際にプレイすることを身につけさせるためです」
大学現場から見たギャップと期待
ラドバウト大学で人類学科1年生に「アカデミックスキル」を教えるアニック・フォレベルフ(Anick Vollebergh)氏は、新入生の間にある大きな差を実感しています。「入学時点で、科学とは何を伴うものなのか、科学的知識の収集や発信にはどのような倫理的・実践的な指針があるのかを、ほとんど理解していない高校出身者が少なくありません」
多くの学生は1年次に大きく成長しますが、予備知識の欠如が深刻な問題として残るケースもあります。大学の学びが自分に合わないと気づくまで時間がかかったり、「真理を絶えず疑う姿勢」「複数の理論的視点の存在」「科学的な言語や文体の習得」に強いフラストレーションを覚えたりするのです。中には、科学的な作法や姿勢の習得に苦労し続け、モチベーションを失う学生もいます。フォレベルフ氏はこう続けます。「特に第一世代大学生――家庭から大学の知識や学び方への親和性を得ていない学生――にとっては、中等教育での『サイエンス系の学びの流れ』がスタート地点の強化につながると期待できます」
専門家との連携で「盲点」を回避
プログラムの開発期間中、ファン・デ・ラール氏は定期的に大学研究者の意見を仰ぎました。「私は哲学で博士号を取得しているので、学界に人脈があります。また、学会で出会ったフローニンゲン大学のオランダ語運用能力教授、ケース・デ・フロッパー(Kees de Glopper)氏にも継続的に関与いただきました。到達目標へのフィードバックなど、非常に助けになりました。そうした外部の視点がなければ、容易に盲点が生じてしまいます。コースが軌道に乗った今でも、この連携を保ち続ける必要があります」
オンライン授業の終わりに、ロメイン教諭は自身が生物物理学を専攻していたことを生徒たちに披露します。「名称からして、分野の重なりが分かりますよね。私は体内の生物学的プロセスを測定できるバイオセンサーを研究していました。有名な例は妊娠検査薬ですが、私が手がけたセンサーは、心不全を予測しうる血液中の物質を検出するものでした。とても役に立つ研究だったのです!」ウェブカメラ越しでは、その熱意がどこまで伝わったかは分かりません。それでも、科学が教科書の枠をはるかに超えた広がりを持つことを、生徒たちが肌で感じ取れたことは明らかです。
※本記事は、コーニング・ウィレム2世カレッジの追加試験科目に関するOmroep Tilburg(ティルブルグ地方放送)の報道をもとに構成しています。