歴史物語

中世の沈没船『アイセルコッゲ』引き揚げ作戦――オランダ考古学史上屈指の技術的偉業

昨年9月以降、オランダのアイセル川では昼夜を問わず大規模な作業が続けられている。考古学者、ダイバー、船長、技術者たちが結集し、約600年前に沈んだ船の引き揚げに挑んでいるのだ。しかし、崩れやすい繊細な木造の巨体を、一体どうやって川底から引き上げればいいのか。引き揚げ業者たちは、近年のオランダで最も複雑とされる考古学的作戦のため、まさに技術的な離れ業を演じている。

カンペン近郊のアイセル川といえば、普段は貨物船やクルーザー、せいぜい迷い込んだマリンスポーツ愛好家が訪れる程度の場所だ。だが現在、異様な光景が広がっている。中型の作業船が川に停泊し、両舷にはポンツーンが取り付けられ、甲板上のクレーンが水面下へ伸びる巨大な鋼鉄構造物を吊り下げている。ダイバーが潜っては浮上し、ソナー機器を操作するスタッフが忙しく立ち回る。水中溶接の専門家も現場へ向かう。まさに大忙しの状況だ。

こうした活動の的中心となっているのは、川底に横たわる中世の交易船「コグ(cog)」である。2012年のソナー調査で、この船とともに2隻の小型沈没船も発見された。

この商船は約600年前、北海とバルト海を行き来していたとみられ、全長20メートル、幅8メートル。わずかに傾いた姿勢のまま、アイセル川の流れる砂の河床に数メートルの深さまで埋もれている。

外洋を航行していたはずの船が、なぜ内陸の川に沈んでいたのかは今も謎に包まれている。関わる考古学者の間では「意図的に沈められたのではないか」という見方もあるが、それを裏付けるにはさらなる調査が必要だ。

通常、この規模の歴史的発見に対するオランダの方針は「現地に眠らせておく」ことだ。現場での小規模な調査は可能であり、沈没船をできるだけ無傷のまま保てるからだ。古い船を無理に引き揚げれば、深刻な損傷を招きかねない。

ところが、この「アイセルコッゲ」と呼ばれる船については、その方針を採ることができなかった。国土計画「Room for the River(川に空間を)」プロジェクトの一環として、この区間のアイセル川を2メートル掘り下げることになっていたのだ。沈没船を救う道は、引き揚げしか残されていなかった。

「普通の引き揚げ」ではない

オランダには引き揚げ業者が数多く存在する。それでも、考古学調査会社ADCのウォウター・ヴァルドゥス氏ら担当考古学者たちは、依頼先の選定に細心の注意を払った。「現代の船の引き揚げは、かなり乱暴な手法が一般的です。例えばチェーンで沈没船を強引に引っ張り上げる。当然ながら、数百年前のコグにそんな方法は使えません。この船は無傷で水面まで上げなければならないのです」とヴァルドゥス氏は語る。

では、どうすればいいのか。「理想を言えば」とヴァルドゥス氏は続ける。「コグを含む『砂の塊』ごと川底から切り出したいところです。そうすれば陸上で時間をかけて船を整備できますから。残念ながら、これは技術的にも費用面でも課題が多すぎて実現できませんでした」。

ヴァルドゥス氏によれば、最適な引き揚げ方法には綿密な検討が重ねられたという。船体の下にリフティングベルトや支持構造を設置して吊り上げる必要があるためだ。ダイバーに直接河床を掘らせる案は早々に却下された。掘った穴が瞬く間に砂で埋まり戻り、ダイバーが巻き込まれる危険があるからだ。

採用されたのは「スプレーランス(噴射ノズル)」と呼ばれる装置だ。多数の孔の開いた管から水を噴射し、土砂を掘削していく。「この方法なら沈没船の下に潜り込めます。そこにタイヤと鋼材フレームで組んだ一種の『かご』を作り、コグを固定するんです」とヴァルドゥス氏は説明する。「船体を起こした後、真上へ吊り上げます。水上に出たら、さらなる補強のため金属製のコルセットのような構造を装着します。木材が乾燥して劣化するのを防ぐため、常に湿らせた状態も保ちます」。

もうひとつの重要な作業が、船体を覆う余分な堆積物の除去だ。「かなりの量で、約200立方メートルに及びます」とヴァルドゥス氏は言う。「一部は大型ポンプで対応できますが、作業の大部分は、何を吸引しているかを正確に把握できるダイバーの手作業です。おかげで船体を傷つけずに丁寧に解放していけます。ちなみに吸引した砂はすべてふるいにかけられるので、貴重な遺物を見逃す心配もありません」。

驚異的な保存状態

現在までに、木材の状態を確認するためコグから数枚の板材が引き上げられており、結果は有望だった。

「全体がよく保存されていて、木材はまだ十分な強度を保っています」とヴァルドゥス氏は語る。「さらに、梁や板材をつなぐ鉄製の接合金具も残っており、船体全体をしっかりとまとめています。つまり船は今も『一体化』した状態で、周囲の土に支えられて安定しているのです」。

本当の正念場は、コグが水上に上がり、河床から引き離される瞬間だ。何世紀もの間、船を支えてきた土の安定効果が失われるからだ。

「そこには少なからぬ不確実性があります」とヴァルドゥス氏は認める。「船体は我々の作業に耐える強度を持っているのか。木材が割れたり、梁や板材が外れたりする可能性もあります……。とはいえ、万が一損傷しても、こうした部分は後から修理できることが多いのです」。

ヴァルドゥス氏によれば、このプロジェクトはオランダで前例のない試みだ。これほど大きな歴史的船舶が、しかも比較的良好な状態のまま引き揚げられたのは初めてだという。「私たちはこの分野の真のパイオニアです。次にこんな素晴らしい発見があるとしても、それは何年も先のことになるでしょうね」。

コグの引き揚げは2月10日に実施される予定だ。

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