一家を襲った連続する死の正体
イタリア・ターラントで一家を襲った一連の悲劇。犠牲者となった人々の死因はすべて、「原発性アミロイドーシス」と呼ばれる極めてまれな遺伝性の疾患でした。
原発性アミロイドーシスとは何か
この病気では、体内に「アミロイド」と呼ばれる異常なタンパク質が蓄積していきます。アミロイドは本来、体の中で分解・排出されるはずのタンパク質が、折りたたみの異常によって繊維状に変化したものです。
蓄積したアミロイドは心ミロイドは心臓、腎臓、肝臓、神経などさまざまな臓器に沈着し、臓器の機能を徐々に損なっていきます。やがて心不全や腎不全といった臓器不全を引き起こし、最終的には命を脅かすのです。
なぜ一家で発症したのか
遺伝性のアミロイドーシスは、親から子へ遺伝する形質を持っています。両親のどちらかが原因となる変異遺伝子を持っている場合、子どもがそれを受け継ぐ可能性は理論上2分の1とされます。
しかし、この病気自体が非常にまれであるため、一族の中で複数の人が同じ病気で亡くなる確率は、ひとつの出来事につきおよそ60万分の1とも言われるほど低いものでした。それにもかかわらず、悲劇は繰り返されました。
医学の進歩が明かした真実
当時の人々にとって、原因不明の死が次々と家族を襲う様子は、まるで「呪い」のように映ったことでしょう。しかし現代医学の観点から見れば、その正体は偶然でも超常現象でもなく、遺伝という仕組みによって静かに受け継がれてきた疾患だったのです。
近年では遺伝子検査の普及により、原因遺伝子の変異を早期に特定できるようになり、治療法の研究も大きく進んでいます。かつては謎に包まれていたこの病気も、今では診断と対応の道が少しずつ開かれつつあります。