「アンドリュー」という名の詩人による『内気な恋人へ(To His Coy Mistress)』という詩は実在しません。しかし、17世紀イングランドの詩人アンドリュー・マーヴェル(Andrew Marvell)が書いた、同名の有名な形而上詩(metaphysical poem)が存在します。
『内気な恋人へ』の執筆年代
この詩は1647年から1649年の間に書かれたと考えられています。これはイングランド内戦(清教徒革命)の時期にあたり、当時のマーヴェルはまだ20代の若い詩人でした。なお、この詩は生前には出版されず、彼の死後の1681年に刊行された詩集『Miscellaneous Poems』で初めて世に出たものです。
作品の特徴
『内気な恋人へ』は、イギリス文学における形而上詩の代表作の一つとして高く評価されています。全3節から成るこの詩は、「今この瞬間を生きよ」というカルペ・ディエム(carpe diem)の思想をテーマに、機知に富んだ比喩と論理的な議論の展開を用いて描かれています。
永遠の時間という壮大な空想から始まり、時間の無情さを提示し、最後に愛の切迫した喜びへと至る三段階の構成は、説得力のある名演説のような趣があり、今日でも英語詩の古典として世界中で読み継がれています。