北米の歴史

ネイティブアメリカンはみんなティピに住んでいるの?実は多様だった伝統的住居の世界

いいえ、ネイティブアメリカン(アメリカ先住民)がすべてティピに住んでいたわけではありません。ティピは一部の部族で使われていた伝統的住居の一つにすぎず、北米各地の先住民たちは、それぞれの土地の気候や資源、生活様式に合わせて実にさまざまな住居を発展させてきました。

ティピはどの部族のもの?

ティピとは、ポールを組み合わせて円錐形に組み、獣皮や布で覆ったテント型の住居です。主にグレートプレーンズ(大平原)地域に暮らすラコタ族、シャイアン族、ブラックフット族などの遊牧民が使用していました。野牛(バッファロー)の群れを追って移動しながら暮らす彼らにとって、短時間で組み立て・撤去できるティピは理想的な住居だったのです。

地域ごとに見る多様な伝統的住居

ロングハウス(長屋型住居)

北東部の森林地帯に住むイロコイ連邦(ハウデノサウニー)などの部族は、木の骨組みに樹皮を張った細長い共同住宅「ロングハウス」に住んでいました。長さ数十メートルに及ぶこともあり、母系の大家族が一つの建物で共同生活をしていました。

ウィグワム

五大湖周辺や東海岸のアルゴンキン語族系の部族は、柔軟な若木を曲げて骨組みを作り、樹皮や葦、マットで覆ったドーム型の「ウィグワム」を用いていました。小規模で保温性が高く、森の生活に適した住居です。

プエブロ

南西部の乾燥地帯に住むホピ族やズニ族などは、日干しレンガや石を積み上げた集合住宅「プエブロ」を築きました。中には数階建てで数百人が暮らせる巨大なものもあり、現在も居住され続けているものもあります。また、同じ南西部のナバホ族は、儀礼的な意味も持つ丸木構造の住居「ホーガン」を伝統的に建ててきました。

その他の特色ある住居

太平洋岸北西部の部族は巨大な杉の板材を使った板壁住居を、平原の定住部族は半地下式の「アースロッジ」を、フロリダのセミノール族は湿気の多い気候に適した高床式の「チキー」を使用するなど、その種類は実に多彩です。

まとめ

映画や絵本の影響で「ネイティブアメリカン=ティピ」というイメージが定着していますが、それは豊かな住文化のごく一部にすぎません。500以上とも言われる部族が、それぞれの環境と知恵に基づいた独自の住居を育んできたのです。