アメリカ合衆国の歴史において、奴隷制度の廃止に最も早く踏み切った州はマサチューセッツ州です。同州は1783年、司法判断によって奴隷制度を事実上終わらせました。
マサチューセッツ州での廃止の経緯
マサチューセッツ州が1780年に制定した州憲法には、「すべての人は生まれながらにして自由かつ平等であり、生命・自由・幸福追求といった一定の権利を有する」という理念が盛り込まれていました。この条文を根拠に、1783年に行われた裁判(クオック・ウォーカー事件と呼ばれる訴訟など)において、奴隷制は州憲法に反するものとして法的に無効と判断されました。
この司法判断により、マサチューセッツ州では奴隷制度が正式な法律ではなく裁判所の解釈によって廃止されたという、他の州には見られない特徴があります。
北部諸州における奴隷制度廃止の流れ
マサチューセッツ州の動きに続き、北部の各州でも段階的に奴隷制度の廃止が進められました。
- ペンシルベニア州:1780年に段階的解放法を制定し、北部で最も早い立法措置を実施
- ロードアイランド州・コネチカット州:1790年頃に段階的解放へ移行
- ニューヨーク州:1799年に段階的解放法を制定し、1827年に完全廃止
- ニュージャージー州:1804年に段階的解放法を制定
バーモントについての補足
厳密に言えば、1777年に独立を宣言したバーモント共和国は、その憲章で奴隷制を禁止しており、時期的にはマサチューセッツより先んじていました。ただし、バーモントが正式に州となったのは1791年のことなので、「州として」最初に奴隷制度を廃止したのはマサチューセッツ州とされています。
まとめ
アメリカで最初に奴隷制度を廃止した州は、1783年の司法判断によりこれを実現したマサチューセッツ州です。この動きは、やがて南北戦争と1865年の憲法修正第13条による全国的な奴隷制度廃止へとつながる、歴史的な第一歩となりました。