「IN GOD WE TRVST」という少し変わった表記を目にして、手元のアメリカ銀貨の価値が気になっている方は多いのではないでしょうか。一見スペルミスのように思えますが、実はこの「TRVST」にはちゃんとした理由があります。
なぜ「TRUST」ではなく「TRVST」なのか?
TRVSTと刻まれた銀貨の多くは、1921年から1935年にかけて発行されたピースダラー(Peace Dollar)です。表面の標語「IN GOD WE TRVST(我らは神を信ず)」は誤記ではなく、デザイナーのアンソニー・デ・フランチシが古代ローマ風の書体を採用し、ラテン文字の「U」を「V」で表現したためです。当時のデザイン潮流を反映した意図的な表記であり、偽物や変わり種ではありません。
ピースダラーの価値と相場の目安
ピースダラーの査定額は、発行年・ミントマーク(造幣局の刻印)・保存状態の3つの要素によって大きく変わります。
- 一般的な年号・流通品: 銀地金としての価値に多少のプレミアムが上乗せされ、おおよそ50〜100ドル程度から取引されることが多いです。
- 未使用品(UNC): 毛傷の少ない美品は数百ドルに達することもあります。
- 希少な年号: 1928年フィラデルフィア造幣局版や1934年Sなどは人気が高く、状態次第では数千ドル以上の高額査定となるケースがあります。
より正確な価値を知りたい場合は、NGCやPCGSといった公的鑑定機関によるグレーディングを受けるのがおすすめです。
2007年以降の大統領1ドル硬貨との違いに注意
一方で、2007年に開始された「大統領1ドル硬貨プログラム」の硬貨では、「IN GOD WE TRUST」という通常の表記が硬貨の縁(エッジ)に刻印されています。こちらは銀貨ではなくマンガン真鍮製のため、貴金属としての価値はほぼなく、基本的に額面の1ドル程度です。縁に文字が刻まれた1ドル硬貨を持っていても、それはピースダラーとは別物なので混同しないようにしましょう。
まとめ
「TRVST」の表記はローマ風の意匠によるもので、ピースダラーである可能性が非常に高いサインです。まずは発行年とミントマーク、そして保存状態を確認してみてください。希少な年号であれば思わぬ価値が眠っているかもしれません。査定に迷ったら、専門家による鑑定を受けるのが確実です。