1999年5月3日、アメリカ合衆国オクラホマ州のムーア(Moore)は、観測史上でも屈指の規模とされるF5の竜巻に襲われました。この「ブリッジクリーク・ムーア竜巻」は、アメリカ本土に発生した竜巻の記録の中でも最も強力なものの一つとして知られています。
観測史上最高の風速を記録
この竜巻は、移動式ドップラーレーダーによる観測で時速約484キロメートル(約301マイル)という風速が計測されました。これは地上で観測された風速として世界最高記録であり、竜巻の強度を示す藤田スケール(Fスケール)における最高ランクのF5に分類される要因となりました。
もたらされた甚大な被害
竜巻はオクラホマシティ都市圏の南部を縦断し、ブリッジクリークやムーア周辺の住宅地に壊滅的な打撃を与えました。この災害では36人以上の命が失われ、数千棟に及ぶ住宅や建物が破壊され、被害総額は10億ドルを超えたと推計されています。
気象学研究への影響
この竜巻の記録は、竜巻研究の歴史における重要な転換点となりました。従来のFスケールでは実際の被害状況や構造物の耐性を十分に反映できないことが課題となり、その後の改良版であるEFスケール(拡張藤田スケール)の導入につながりました。また、竜巻警報システムやレーダー観測技術の向上にも大きく貢献しています。