古代の歴史

BMP-1(ソ連)|世界初の本格的歩兵戦闘車(IFV)の誕生

BMP-1(ソ連)|世界初の本格的歩兵戦闘車(IFV)の誕生

世界初の歩兵戦闘車、BMP-1

ソ連が開発したBMP-1は、世界で最初に実用化された本格的な「歩兵戦闘車(IFV)」である。それまで各国の軍隊は、アメリカのM113のような装甲兵員輸送車(APC)を使って歩兵を戦場まで運び、現地に到着した兵士は車を降りて徒歩で戦うのが一般的だった。

これに対し歩兵戦闘車は、車体側面や後部に設けられた射撃孔(ガンポート)により、兵士が車外に出ることなく携行火器で射撃できる点が大きな特徴だ。さらに標準的な兵員輸送車より強力な武装を備え、軽装甲車両にも敵歩兵にも対処できる総合力を持っている。

1967年にソ連軍へ制式採用されたBMP-1は、その後エジプトやシリアなど複数の国へ輸出され、1973年の第四次中東戦争(ヨム・キプル戦争)で実際に戦場へ投入された。

主要諸元

  • 種類:機械化歩兵戦闘車
  • 乗員:3名+歩兵8名
  • 武装:73mm滑腔砲、同軸7.62mm PKT機関銃、「サッガー(AT-3)」対戦車ミサイル発射装置
  • 装甲厚:最大14mm

寸法・重量

  • 全長:6.30m/全幅:3.05m/全高:1.83m
  • 戦闘重量:12t
  • 接地圧:0.57kg/cm²
  • パワーウェイトレシオ:約22.7馬力/t

エンジン

V-6型 直列6気筒水冷ディーゼルエンジン(2,000rpmで284馬力)

走行性能

  • 路上最高速度:60km/h
  • 水上速度:8km/h
  • 航続距離:500km
  • 越堤高:1.10m
  • 超壕幅:1.98m
  • 登坂能力:60%

運用国

1967年制式採用。東ドイツ、エジプト、イラク、リビア、ポーランド、シリア、チェコスロバキア、ソ連などで使用された。

車体構造

車体は全溶接構造の鋼製ユニットで構成されている。操縦席は車体前部左側にあり、その後方に車長席、右側にはエンジンが搭載される。砲塔は車体中央、兵員室は車体後部に配置。歩兵8名は、予備燃料タンクを内蔵した観音開き式の後部ドアから乗降し、兵員室上方にはさらに4つのハッチが設けられている。

この砲塔は、当時開発が進められていた空挺戦闘車BMDにもそのまま転用された。

武装システム

主砲は30発を給弾する73mm滑腔砲で、対戦車榴弾(HEAT弾)または安定翼付き榴弾(HE弾)を発射する。実用最大射程は1,500mである。

砲塔は360度の全周旋回が可能で、主砲の俯仰範囲は-5度から+20度。主砲と同軸に7.62mm機関銃が据えられ、弾薬1,000発を搭載する。さらに主砲身上部には対戦車ミサイル「AT-3 サッガー」の発射レールが装着され、ミサイルの最大射程は3,000m。車内には5発のサッガーが収容されている。

防御・特殊装備

車内の歩兵はAKMS突撃銃や軽機関銃を携行し、加えて近距離の航空脅威への自衛手段として「SA-7 グレイル」携帯式地対空ミサイルも搭載している。

BMP-1は完全な水陸両用車で、水上では履帯を回して推進する。多くの近代車両と同様、汚染地域でも作戦続行を可能にするNBC(核・生物・化学)防護システムを備え、赤外線ヘッドライトおよび車長・砲手用の赤外線サーチライトを含む完全な夜間視察装置も装備している。

T-62との連携とその評価

BMP-1は、主力戦車T-62と協同して「戦車・歩兵チーム」を編成する想定で設計された。ただし必要とあれば、当時最強クラスの武装を誇る歩兵戦闘車として単独行動も可能である。とはいえ、ソ連軍内部では、BMP-1が戦場で実際に果たせる役割について大きな論議が存在したことも事実である。