ニューポール11(Nieuport 11)は、第一次世界大戦期にフランスで開発された単座戦闘機です。小型ながら卓越した運動性を発揮し、「ベビー(Bébé)」という愛称で親しまれたこの機体は、大戦中の空戦史に最も大きな足跡を残した機の一つとして知られています。

主要諸元
基本情報
- 種別:戦闘機
- 乗員:1名
- エンジン:ル・ローヌ製 80馬力 ロータリーエンジン
寸法
- 全幅:7.52m
- 全長:5.64m
- 全高:2.40m
- 主翼面積:13.3㎡
重量
- 自重:320kg
- 兵装搭載時の全備重量:480kg
性能・武装
- 最高速度:176km/h
- 武装:上部翼上に固定機銃1挺(ホッチキスまたはルイス機銃)

開発の背景と機体の特徴
ニューポール11は、先行して開発されたニューポール10を小型化し、より高性能に仕上げた機体でした。厳密には通常の複葉機ではなく、上翼の面積が下翼の約2倍である「セスキプレーン(1.5葉機)」と呼ばれる形式を採用しています。このコンパクトなサイズこそが、「ベビー」というニックネームの由来となりました。
本機は飛行特性にきわめて優れ、格段の運動性を誇りました。その一方で弱点も存在しました。ひとつは、過酷な機動の際に上翼が破損しやすい構造だったこと。もうひとつは、上翼の上方に装備されたホッチキスまたはルイス機銃の弾倉(27発入り)の交換が非常に困難だった点です。

バリエーションと武装
動力は出力80馬力のル・ローヌロータリーエンジンを搭載しました。また、一部のニューポール11には、翼間支柱にフランス製のル・プリウルロケット弾8発を装着したタイプも存在し、敵の観測気球攻撃などに活用されました。
歴史的意義 ― フォッカーの厄災を終わらせた機体
ニューポール11は1916年1月5日に初めて部隊へ引き渡されました。当時、フォッカー社の単葉戦闘機「アインデッカー(Eindecker)」の活躍により、連合国軍は西部戦線での制空権を失いかねない危機に陥っていました。
しかし、ニューポール11の実戦投入によって状況は一変します。小型軽量で俊敏な本機はたちまち連合国側に空中の優位を取り戻させ、いわゆる「フォッカーの厄災(Fokker Scourge)」と呼ばれた危機に終止符を打ったのです。
