古代の歴史

コロ・トロ(Koro Toro)|チャドにある人類学・考古学の重要遺跡

コロ・トロとは

コロ・トロ(Koro Toro)は、中央アフリカのチャド共和国中部に位置する古人類学の発掘遺跡です。サハラ砂漠の南縁部にあたるこの地は、1995年に発見されたアウストラロピテクス(Australopithecus)型の化石断片で世界的に知られています。

「アベル」と呼ばれる貴重な下顎骨化石

この遺跡で出土した化石は下顎骨の断片で、約350万年前から300万年前と推定される堆積層の中から見つかりました。研究チームによって、コロ・トロが位置するバハル・エル・ガザル(Baḥr el-Ghazāl)地方にちなんだ全新種「アウストラロピテクス・バレルガザリ(Australopithecus bahrelghazali)」として記載されました。この標本は愛称「アベル(Abel)」とも呼ばれています。

人類進化研究における意義

コロ・トロで発見された顎の化石は、中央アフリカで初めて確認された初期ホミニン(人類の系統に属する種)の化石です。それまで主に東アフリカで知られていたアウストラロピテクス属の地理的分布を、西へ約2,500kmも拡大させたことから、人類進化の研究において極めて重要な意味を持っています。

この遺骸は多くの点で、東アフリカで「アウストラロピテクス・アファレンシス(A. afarensis)」と同定されている標本とよく似ていますが、別種として分類するに足る明確な相違点も認められています。

より新しい時代の発見

さらに興味深いことに、この遺跡のより新しい堆積層からは、おそらくホモ・エルガステル(Homo ergaster、いわゆるアフリカのホモ・エレクトス)に属するとみられる頭蓋骨の断片も出土しています。これによりコロ・トロは、長い時間スパンにわたる人類の進化と分布を解き明かすうえで、欠かせない遺跡となっています。