古代の歴史

マヤ暦とは?古代マヤ文明が生んだ驚異の暦システムと「2012年終末説」の真実

マヤ暦のひとつである太陽暦ハアブ(Haab)は、1年を365日とし、20日ずつの18ヶ月で構成されています。さらに、このハアブは260日からなる神聖な儀礼暦ツォルキン(Tzolkin)と組み合わせて使用されました。

マヤ人の時間観――円環としての時間

マヤ暦と西洋の暦の最大の違いは、「時間」に対する考え方にあります。

西洋的な時間観では、時間はある時点で始まり、止まることなく直線的に進み続けるものです。そして、何か大きな出来事によってのみ、その流れが終わると考えられてきました。

一方、マヤ文明において時間は円環(循環)するものと捉えられていました。過去に起きた出来事は必ず繰り返される――毎日太陽が昇るように自然のサイクルが繰り返されるように、私たち個人の人生における出来事もまた繰り返されるというのです。

この考え方に基づき、マヤ人は誕生、思春期、成熟、死といった個人の人生のサイクルを、自然界のより大きなサイクルへと対応させていきました。

マヤ暦とは?古代マヤ文明が生んだ驚異の暦システムと「2012年終末説」の真実

太陽暦「ハアブ」の仕組み

西洋の暦と同様に、マヤの太陽暦「ハアブ」も1年は365日です。ただしこの365日は、20日ずつの18ヶ月に分けられ、合計360日となります。

残りの5日はどの月にも属さない特別な日であり、特定の作業を行うには不吉な日とみなされていました。

儀礼暦「ツォルキン」の役割

もうひとつの暦である「ツォルキン」は儀礼用の暦です。260日で構成され、各日は1から13まで数えられます。一年で最も暑い時期、すなわち種まきが可能な季節をカバーしていたため、農作業の管理に活用されました。

この260日という数字は、人間の妊娠期間が約260日であることに基づいていると言われています。そのため、この暦は戦争の開始、生贄の奉納、結婚式などを行うのにふさわしい日を選ぶための鍵となりました。それぞれの日には、占星術に基づく特別な意味が与えられていたのです。

暦輪と長期暦

ハアブとツォルキンのふたつの暦を組み合わせると、「暦輪(円形暦)」と呼ばれる周期が生まれます。これは52年間続き、現代でいうところの「世紀」のようなものでした。52年のサイクルが終わると新しいサイクルが始まり、これが永遠に繰り返されました。

マヤ暦とは?古代マヤ文明が生んだ驚異の暦システムと「2012年終末説」の真実

さらに3つ目の暦として「長期暦(Long Count Calendar)」がありました。名前の通り、前述の暦よりもはるかに長いスパンを扱う暦です。マヤの起源から世界の終わり(とされる日)までの時間を数えるもので、日常生活では使用されませんでした。

マヤ文明の卓越した科学知識

マヤ文明は、芸術・数学・医学の分野での業績で有名です。彼らの暦はその証拠であり、この古代民族が精密科学について驚くべき知識を持っていたことを示しています。

マヤ、アステカ、インカといった先コロンブス期の古代文明の中でも、マヤ暦は最も精巧で、おそらく最古の暦と考えられています。その使用は紀元前550年頃にさかのぼり、アステカも自国の暦としてこれを採り入れました。

マヤ暦は星の観察と数学的計算を通じて発展しました。そして、重要な出来事を後世に伝えるため、神殿の壁に刻まれた彫刻として記録されたのです。

2012年、世界は本当に終わるのか?

世界の終わりは、多くの人々を魅了するテーマです。歴史上、さまざまな日付が「時間の終わり」として予言されてきました。

2012年、正確には12月21日に、マヤ暦の解釈に基づいて大惨事が起こると信じる人々が現れました。

このニュースは世界中に波紋を広げました。中国のある省では人々がろうそくを買い求め、ロシアでは缶詰の購入が急増し、首相が国民に冷静になるよう呼びかける事態となったほどです。

しかし、この予言の日付は、マヤ暦の誤った解釈によるものでした。

専門家たちが暦を読み解いた結果、この日付は暦における新時代の始まりを示すだけのものであることが判明し、誤解は解消されました。

この日付が示していたのは時間の終わりではなく、ひとつの時代(周期)の終わりでした。実際、これは現代における世紀の変わり目と同じように、繰り返されるサイクルだったのです。

というのも、マヤ暦は紀元前3114年に始まり、約394年ごとにバクトゥン(Baktun)と呼ばれる周期が切り替わります。2012年12月21日の冬至は、このバクトゥンの終わりを示す日にすぎなかったのです。

豆知識

  • マヤの太陽暦「ハアブ」は、現在使われている暦よりも4秒だけ精度が高いと言われています。
  • マヤ人は実に17種類もの異なる時間の数え方を発展させました。