反奴隷制運動の象徴は「自由の鐘」
アメリカにおける反奴隷制(廃奴)運動の象徴として広く知られているのが、自由の鐘(Liberty Bell)です。現在はペンシルベニア州フィラデルフィアの独立国立歴史公園内に展示され、年間数百万人が訪れるアメリカの歴史的ランドマークとなっています。
独立宣言と結びついた鐘
自由の鐘が奴隷制廃止と深く結びつけられるようになった背景には、1776年の独立宣言との関わりがあります。独立宣言の採択を受けて、フィラデルフィアの市民たちにその朗読を呼びかけるため、あるいは独立達成を祝うためにこの鐘が鳴らされたと伝えられています。
こうした経緯から、自由の鐘は「自由」という理念そのものを体現する存在として人々に認識されるようになりました。
「自由の鐘」という名前の由来
興味深いことに、この鐘が最初から「自由の鐘」と呼ばれていたわけではありません。当初は「州議会事務堂の鐘(State House Bell)」という名称でした。
19世紀前半、奴隷制廃止を掲げる廃奴主義者(アボリショニスト)たちが、この鐘を自らの運動の象徴として採用しました。鐘の表面には旧約聖書レビ記25章10節の一節、「この地のすべての住民に自由を告げ知らせよ」が刻まれており、この言葉こそが廃奴運動の理想を象徴するものだったのです。ここから「リバティ・ベル(自由の鐘)」という名前が定着していきました。
有名なひび割れと現在の姿
自由の鐘といえば、側面に入った大きな亀裂(ひび割れ)でも有名です。19世紀に何度も鳴らされるうちに亀裂が入り、1846年のワシントン誕生日の祝賀以降は鳴らされなくなりました。
しかし、その傷跡はむしろアメリカが歩んできた歴史――自由への願いと格闘の証――として受け止められ、今日でも奴隷制廃止、公民権運動、そして普遍的な自由の象徴として多くの人々に語り継がれています。