古代の歴史

「In God We Trust」はいつから米国の硬貨に刻まれた?その歴史をわかりやすく解説

アメリカの硬貨に刻まれた「In God We Trust(我ら神を信ず)」。この言葉が初めて硬貨に登場したのは、意外にも古く、南北戦争の最中である1864年のことです。当時発行された2セント硬貨に初めて刻印されて以来、160年近くにわたりアメリカの貨幣とともに歩み続けてきました。

南北戦争がきっかけとなった言葉

始まりは1861年、ペンシルベニア州の牧師マーク・R・ワトキンソンが、財務長官サルモン・P・チェイス宛てに「硬貨にも神への感謝を表す言葉を刻むべきだ」という趣旨の手紙を送ったことだとされています。国家分裂という危機の中で、国民の信仰心を貨幣に反映させたいという要望は広く共感を呼びました。

こうした流れを受け、1864年4月、議会は新しく発行される2セント銅貨に「In God We Trust」を刻むことを承認します。これが同言葉の貨幣デビューとなりました。

一時姿を消し、1908年に復活

ただし、この言葉が常にすべての硬貨に刻まれ続けたわけではありません。1880年代には一部の硬貨から外された時期があり、さらにセオドア・ローズベルト大統領は「貨幣に神の名を入れるのはふさわしくない」との考えから、1907年の新デザイン金貨からこの言葉を省いてしまいました。

しかし、これに対して宗教団体や一般市民から強い反対の声が殺到。1908年には議会が法律により、金貨・銀貨への刻印を義務付けました。翌1909年に発行が始まったリンカーン1セント硬貨にも、当初からこの言葉が刻まれています。

国の標語として正式採用

1955年には、すべての硬貨と紙幣にこの言葉を刻むことが法律で義務付けられました。さらに1956年には、「In God We Trust」が正式な国の標語(National Motto)として採択され、1957年には1ドル紙幣に初めて印刷されています。

現代における意味

今日では、アメリカのあらゆる硬貨・紙幣に「In God We Trust」が刻まれています。政教分離の原則との関係で議論が起こることもありますが、国家の歴史と伝統を象徴する言葉として、今もなおアメリカ社会に深く根付いているのです。