古代の歴史

インディアン強制移住法の対象となったアメリカ先住民の五大部族とは?

1830年にアメリカ合衆国で成立したインディアン移住法(Indian Removal Act)は、当時ジョージア州やフロリダ州などミシシッピ川以東に居住していた先住民族を、ミシシッピ川以西の「インディアン準州(現在のオクラホマ州周辺)」へ強制的に移住させることを認めた法律です。

この法律の主な適用対象となったのは、「文明化五部族(Five Civilized Tribes)」と呼ばれる以下の5つの部族です。これらの部族は、農業や教育の導入など白人社会の文化を積極的に取り入れていたことからこう呼ばれましたが、それでも土地の没収と強制移住を免れることはできませんでした。

文明化五部族の一覧

1. チェロキー(Cherokee)

ジョージア州やノースカロライナ州周辺に居住していた最大規模の部族です。独自の文字や新聞を持つなど高度な文化を築いていましたが、1838年から1839年にかけての強制移住では数千人が命を落としました。

2. チカソー(Chickasaw)

ミシシッピ州北部を中心とした地域に居住していた部族です。比較的早期に政府との協定を受け入れ、自ら移住先を選ぶ交渉を行ったものの、その過程で多くの犠牲を出しました。

3. チョクトー(Choctaw)

ミシシッピ州南部に居住していた部族で、文明化五部族の中で最初に強制移住させられた部族です。1831年からの移住では、飢えや病気により多数の死者が出ました。

4. クリーク(Creek / マスコギー族)

ジョージア州やアラバマ州に広く居住していた部族です。土地を巡る紛争が激しく、1836年頃に鎖につながれたまま西へ移送されるなど、過酷な移住を強いられました。

5. セミノール(Seminole)

フロリダ州に居住していた部族です。他の部族と異なり強制移住に武力で抵抗し、第二次セミノール戦争(1835年〜1842年)として知られる長期のゲリラ戦を展開しました。一部の人々はフロリダの湿地帯に留まり続けたことで知られています。

「涙の道」と呼ばれた悲劇

これらの部族が西への移住を強いられた道程は、多くの犠牲者を出したことから「涙の道(Trail of Tears)」と呼ばれています。飢餓、寒さ、病気などにより、移住中および移住後に亡くなった先住民は数千人に上るとされ、アメリカ史における先住民族抑圧の象徴的な出来事となっています。