ローマ人は本当に食事中に左側を下にして横になっていたのか?
古代ローマの食習慣について、「ローマ人は食事中に左側を下にして横になっていた」という話を耳にすることがあります。しかし結論から言えば、大多数のローマ人が食事中に左側を下にして横になっていたことを裏付ける確かな証拠は、現在までに確認されていません。
「左側を下にして寝る」説の出どころ
このイメージが広まった背景には、ローマ特有の宴会文化があると考えられます。富裕層のローマ人は、専用の食堂(トリクリニウム)に置かれた長椅子(レクトゥス)にもたれながら食事をするスタイルを好みました。ポンペイのフレスコ画などには、体を斜めに預けて食事を楽しむ人々が描かれており、こうした絵画が「横になって食べる」という印象を与えたのでしょう。
実際の食事スタイルとは
ただし、ローマ人の姿勢は完全に横たわるものではありませんでした。彼らは左肘をついて上半身を起こした、半座り半臥のリクライニング姿勢をとっていました。左手で体を支え、右手を自由に使える状態にすることで、料理や器を取りやすくしていたのです。つまり「左側を下にして寝ていた」というより、「左肘をついてもたれながら食べていた」と表現する方が正確です。
まとめ
「大多数のローマ人が食事中に左側を下にして横になっていた」と断定できる証拠は存在しません。一方で、宴会の際に長椅子にもたれて食事をする習慣そのものは、壁画や文献からうかがい知ることができます。俗説と史実の違いを押さえておくことで、古代ローマの豊かな食文化への理解がさらに深まるでしょう。