古代の歴史

1790年代に何が起こったのか?アメリカ史の転換期を年表で振り返る

1790年代は、アメリカ合衆国が独立後の体制を本格的に整え始めた、まさに「建国の仕上げ」とも呼べる10年でした。初代大統領ジョージ・ワシントンのもとで連邦政府の基盤が築かれ、権利章典の批准、新州の相次ぐ加盟、国際的な緊張の高まりまで、数々の歴史的転換点がこの時期に集中しています。

この記事では、1790年代の主要な出来事を年ごとに整理して解説します。

1790年:連邦政府の土台づくり

  • 1月8日 — ワシントン大統領が史上初の一般教書演説を議会で行いました。
  • 4月17日 — 建国の父ベンジャミン・フランクリンが85歳でこの世を去りました。
  • 5月29日 — ロードアイランド州が13番目の州として合衆国憲法を批准し、当初13州による連邦が完成しました。
  • 7月16日 — 首都所在地法(レジデンス法)が成立し、ポトマック川沿いに恒久的な首都を建設することが決定。それまでの暫定首都としてフィラデルフィアが指定されました。
  • 7月31日 — 初の特許法が成立し、発明を保護する特許制度がスタートしました。
  • 8月2日 — 史上初の国勢調査が実施され、合衆国の人口は約390万人と判明しました。

1791年:権利章典の批准と金融制度の確立

  • 2月25日 — 財政長官アレクサンダー・ハミルトンの構想により、中央銀行である第一合衆国銀行が設立認可されました。
  • 3月4日 — バーモント州が14番目の州として合衆国に加盟しました。
  • 12月15日 — 憲法修正第1条から第10条、いわゆる「権利章典( Bill of Rights )」が批准され、言論・信教の自由などの基本的人権が明文化されました。

1792年:造幣局の設立とワシントンの再選

  • 4月2日 — 銑貨鋳造法が成立し、フィラデルフィアに合衆国造幣局が設立されました。
  • 5月17日 — ニューヨークの証券仲買人たちが「バトンウッド協定」を結び、これが後のニューヨーク証券取引所の起源となりました。
  • 6月1日 — ケンタッキー州が15番目の州として加盟しました。
  • 12月5日 — 大統領選挙でワシントンが再選されました。

1793年:対外中立と国内の試練

  • 1月21日 — フランス革命の激化により、国王ルイ16世が処刑されました。
  • 2月1日 — フランスがイギリスとオランダに宣戦布告し、ヨーロッパ全土を巻き込む第一次対仏大同盟戦争が勃発しました。
  • 2月12日 — 逃亡奴隷法が成立し、自由州へ逃れた奴隷を取り戻すための法的根拠が与えられました。
  • 3月4日 — ワシントン大統領が二期目の任期を開始しました。
  • 4月22日 — ワシントン大統領が「中立宣言」を発し、ヨーロッパの戦争への不介入を表明しました。
  • 夏〜秋 — 当時の首都フィラデルフィアで黄熱病が大流行し、数千人が死亡する惨事となりました。

1794年:ウィスキー反乱と綿繰り機の発明

  • 3月14日 — エリ・ホイットニーが綿繰り機(コットン・ジン)の特許を取得し、アメリカの綿花産業に大革命をもたらしました。
  • 7月〜10月 — ペンシルベニア西部でウィスキー税に反対する「ウィスキー反乱」が発生。ワシントン大統領は約1万3000人の連邦軍を派遣して鎮圧し、連邦政府の権威を内外に示しました。
  • 8月20日 — アンソニー・ウェイン将軍がフォールン・ティンバーズの戦いで北西インディアン連合軍を破りました。
  • 11月19日 — 米英間の残存する紛争を解決するため「ジェイ条約」が調印されました。

1795年:外交の進展

  • 2月7日 — 憲法修正第11条が批准され、州を相手とする連邦裁判所の管轄権が制限されました。
  • 8月3日 — グリーンヴィル条約が締結され、北西インディアン戦争が終結。現在のオハイオ州にあたる地域が合衆国に割譲されました。
  • 10月27日 — スペインとの間でピンクニー条約(サン・ロレンツォ条約)が調印され、フロリダとの国境問題が解決するとともに、ミシシッピ川の自由航行権が認められました。

1796年:テネシー州加盟とワシントンの退任

  • 6月1日 — テネシー州が16番目の州として合衆国に加盟しました。
  • 9月17日 — ワシントン大統領が「告別演説(フェアウェル・アドレス)」を発表し、三選不出の慣例と対外不干渉主義を提唱しました。
  • 秋 — 大統領選挙でジョン・アダムズが当選し、トーマス・ジェファーソンが副大統領に選ばれました。

1797年:アダムズ政権の発足とXYZ事件

  • 3月4日 — ジョン・アダムズが第2代大統領に就任しました。アメリカ史上初の平和的な政権交代です。
  • 春以降 — フランスとの間で「XYZ事件」が発生。フランス側の賄賂要求が明るみに出ると世論が激昂し、米仏関係は急速に悪化しました。

1798年:外国人・治安諸法と準戦争

  • 4月30日 — 海軍省が設立されました。
  • 6月〜7月 — 外国人・治安諸法(エイリアン・アンド・セディション法)が成立し、移民の帰化要件の厳格化や政府批判者への処罰などが定められました。
  • 7月11日 — 合衆国海兵隊が再編成されました。
  • 同年からは米仏間で公然たる海上衝突「準戦争(擬似戦争)」が展開されました。

1799年:建国の父ワシントンの死

  • 11月9日 — フランスではナポレオン・ボナパルトがブリュメール18日のクーデタを起こし、総裁政府を打倒しました。
  • 12月14日 — 初代大統領ジョージ・ワシントンが67歳で死去。国民全体が深い悲しみに包まれました。

まとめ

1790年代は、憲法という設計図を現実の政治に落とし込み、国家としての骨格を形作った10年でした。権利章典の批准、金融・通貨・特許制度の整備、新州の相次ぐ加盟、そして史上初の平和的な政権交代——これらすべてが、その後のアメリカの発展の礎となりました。

その一方で、逃亡奴隷法の成立に象徴される奴隷制の問題や、先住民族との紛争といった課題も同時に温存されました。建国期の光と影の両面を見つめることが、この時代を理解するうえで重要です。