歴史物語

米国、リビアから略奪された古代遺物9点を返還――総額50万ドル超の貴重な文化財がトリポリへ

戦争は、内戦であれ他国による侵攻であれ、常に略奪の機会をもたらしてきました。その対象には、文化財や美術品も含まれます。リビアも例外ではありません。「アラブの春」と呼ばれる民主化運動の波の中で起きたリビア内戦では、ムアンマル・カダフィ政権崩壊後の混乱に乗じて、博物館所蔵の骨董品の多くが違法に売却され、各国へ密輸されました。実際には、内戦以前からこうした盗難は起こっていたとされています。

祖国へ戻った宝物たち

2022年3月31日、失われた文化財の一部がついにリビアの地へ戻りました。返還されたのは、石造りの頭部、骨壺、土器など計9点の遺物です。これらはすべて、かつて違法に発掘され、米国へ持ち出されたものでした。

返還を実現させたのは米国です。マンハッタン地区検事アルヴィン・ブラッグ氏と協力する考古学者チームが、米国内でこれらの遺物を特定しました。現在、9点すべてはリビアの首都トリポリにある、旧国王イドリス1世の王宮内の博物館に収められています。

米国、リビアから略奪された古代遺物9点を返還――総額50万ドル超の貴重な文化財がトリポリへ

特に価値が高い2点の逸品

返還された9点のうち、特に注目すべきは2点あります。両者を合わせると50万ドル以上の価値があると評価されているためです。どちらも古代都市キュレネ(現シャハト)から略奪され、米国にたどり着くまで長い旅を経てきた品々です。

1点目は「ヴェールを被った女性の頭部」で、推定価格は約50万ドル。紀元前350年頃の作とみられ、墓碑から盗み出された後、エジプトへ渡り、最終的には1998年にメトロポリタン美術館の展示品となっていました。

2点目は髭を生やした男性の胸像で、価値は約3万ドル。こちらも墓から盗み出されたもので、ジュネーブを経由してニューヨークに到達していました。制作年代は西暦100年から300年の間と推定されています。

米国、リビアから略奪された古代遺物9点を返還――総額50万ドル超の貴重な文化財がトリポリへ

略奪された古代遺物が今後さらに多く返還されることを願うとともに、密輸に関わった者たちが厳しく裁かれることが望まれます。

出典

  1. D.A. Bragg Returns Two Antiquities Valued at Over $500,000 to the People of Libya、www.manhattanda.org(参照日:2022年4月4日)
  2. Looted Libyan artifacts returned by U.S.、www.reuters.com(参照日:2022年4月4日)
  3. Murad、US returns smuggled ancient artifacts to Libya、www.abcnews.go.com(参照日:2022年4月4日)