古代ギリシャで女性を診察する医師。月経痛は自然療法によって緩和されていました。
古代ギリシャでは月経痛をどう治療していたのか?
現代でも多くの女性を悩ませる月経痛。では、古代ギリシャの時代を生きた女性たちは、この身近な不調をどのように和らげていたのでしょうか。
時代背景を踏まえてみれば、ギリシャ人は医学の分野、とりわけ婦人科学の分野においても、当時としてはかなり高度な知識を持っていました。とはいえ、彼らが主に頼っていたのは自然療法です。当時の人々にとって、それ以外の選択肢はほとんどなかったのです。
『ヒポクラテス全集』に記された月経困難症の処方
以下の処方は、紀元前5世紀から4世紀にかけて編纂された『ヒポクラテス全集』(Corpus Hippocraticum)から引用したものです。月経困難症、すなわち月経に伴う激しい痛みを鎮めるために用いられたとされる処方箋です。
「新しい黒ワイン、各種の香料、小麦粉を混ぜて作った湿布(薬効のあるペースト状の薬)を腹部に貼ること。その生地は、あらかじめ香りのよい白ワインで煮ておくこと」
ワインや香料といった身近な材料を使ったこの処方からは、当時の医学が「体外から温めたり刺激を与えたりすることで症状を和らげる」という発想に基づいていたことがうかがえます。現代の鎮痛剤とはまったく異なるアプローチですが、月経痛という悩みへの向き合い方がすでに存在していたことは、医学史の観点からも非常に興味深い事実といえるでしょう。