歴史物語

ハロルド王は本当に徒歩で戦ったのか?ヘイスティングスの戦いの真実

ハロルド・ゴドウィンソンは徒歩で戦ったのか?

1066年のヘイスティングスの戦いにおいて、イングランド王ハロルド・ゴドウィンソンが徒歩で戦ったという明確な証拠は存在しません。むしろ、同時代の記録、とりわけ有名なバイユーのタペストリーには、ハロルドが馬に乗って戦う姿が描かれているとされています。

バイユーのタペストリーが語るもの

11世紀に制作されたバイユーのタペストリーは、ノルマン・コンクエストの経緯を刺繍で描いた貴重な同時代史料です。このタペストリーにおけるハロルドの描写は、彼が騎乗して戦場に臨んだことを示唆しており、「王は下馬して戦った」という通説に疑問を投げかける材料となっています。

なぜ「徒歩説」が広まったのか

一方で、当時のイングランド軍の主力であるハスカール(国王直属の精鋭兵)が伝統的に徒歩戦闘を行っていたことから、ハロルド自身も下馬して戦ったと考える歴史家は少なくありません。しかし、現存する同時代史料の中に、ハロルドが徒歩で戦ったことを直接裏付ける記述は見当たりません。

つまり、「ハロルドは徒歩で戦った」というイメージは、後世の解釈や推測によって広まった可能性が高いのです。記録が示す限り、最後のアングロサクソン王ハロルドは、馬上で最期の時まで戦い抜いたと考えられます。