ナショナリストによる「血の日曜日」の説明
1972年1月30日、北アイルランドのデリー(ロンドンデリー)で発生した「血の日曜日(Bloody Sunday)」事件について、ナショナリスト(民族主義者)側は、イギリス軍兵士が自衛のために発砲したのではなく、無実の民間人を意図的に虐殺したのだと主張しました。彼らによれば、兵士たちはアイルランド市民としての権利を求めて行進していた平和的な抗議群衆に向けて発砲したのです。
さらにナショナリストは、兵士たちが当時の基準から見ても明らかに過剰な武力を使用したと指摘しました。抗議者が逃げ始めた後も射撃を続け、負傷者を救助しようとしていた担架係にまで発砲したとされています。
また、イギリス政府が血の日曜日の真相を隠蔽したとも主張しました。ウィジャリー審判所(Widgery Tribunal)として知られる公式調査は「ごまかし(ホワイトウォッシュ)」にすぎず、政府は重要な証拠を公表することを拒んだというのです。
ナショナリストにとって、血の日曜日は北アイルランド紛争における重大な転換点となりました。この事件は、イギリス政府がアイルランド系カトリック教徒の権利を守る意思を持っていないことを示しており、正義を実現するためには武装闘争しか道はない、と彼らは考えるようになったのです。
ナショナリストの説明を裏付ける証拠
ナショナリストの説明を支持する証拠も数多く存在します。主なものは以下の通りです。
- 平和的な群衆への発砲: イギリス軍兵士は確かに平和的な抗議群衆に発砲しました。抗議者が武装していた、あるいは兵士に脅威を与えていたことを示す信頼できる証拠は一切ありません。
- 過剰な武力の使用: 兵士たちは抗議者が逃げ始めた後も射撃を続け、負傷者を助けようとした担架係にまで発砲しました。
- 政府による隠蔽: ウィジャリー審判所はその公平性の欠如をめぐって広く批判され、イギリス政府は長きにわたり重要な証拠の公表を拒み続けました。
なお、2010年に発表されたセビル報告(Saville Inquiry)は、犠牲者全員が無武装であり、イギリス軍の発砲は正当化できないものだったと結論づけました。当時の英国首相デーヴィッド・キャメロンは下院でこの結論を受け、「不当かつ非難されるべき行為」として正式に謝罪しています。これは、ナショナリスト側の主張が後年の公式調査によって事実上裏付けられたことを意味します。