北米の歴史

アメリカの学校では今も子どもたちが「忠誠の誓い」を暗唱しているのか?

アメリカの学校と「忠誠の誓い」:今も続く毎朝の習慣

アメリカ合衆国の公立学校の多くでは、今日でも生徒たちが毎朝の日課として「忠誠の誓い(Pledge of Allegiance)」を暗唱しています。この習慣は100年以上にわたってアメリカの学校に深く根付いており、愛国心を表す象徴的な行為であると同時に、国家への団結感や忠誠心を育む手段ともされてきました。

「忠誠の誓い」の歴史

「忠誠の誓い」は1892年にフランシス・ベラミー(Francis Bellamy)によって書かれたもので、1893年、シカゴで開催されたコロンブス世界博覧会の祝賀行事の一環として、公立学校で初めて広く暗唱されるようになりました。1942年には連邦議会が「忠誠の誓い」を正式に承認し、その後1954年には、国家の宗教的伝統と価値観を反映するものとして「神の下に(under God)」という一節が追加されました。

最高裁判決が示した個人の自由

一方で、「忠誠の誓い」の暗唱をめぐっては、論争や法的な議論が絶えませんでした。1943年、最高裁判所は「ウェストバージニア州教育委員会対バーネット事件(West Virginia State Board of Education v. Barnette)」において、宗教上または良心上の理由で異議を唱える生徒に対して、国旗への敬礼や「忠誠の誓い」の暗唱を強制することはできないとの判決を下しました。この判決は、言論の自由および信教の自由といった個人の基本的な権利を守るものとして、重要な意義を持っています。

現在の状況:参加は任意か、それとも義務か

こうした判決があるにもかかわらず、「忠誠の誓い」の暗唱は今日でも全米の公立学校に広く受け継がれている伝統です。ただし、学校によっては暗唱を義務づけず、生徒が自発的に参加するか、あるいは暗唱の間は沈黙を保つかを選択できる場合もあります。

多様性の時代における新たな議論

さらに近年では、生徒たちの多様な背景や信念をより包括的に反映できるよう、「忠誠の誓い」の文言を見直すべきだという議論や提案が一部の学区で行われています。こうした動きは、教育現場においてあらゆる個人への包摂性と敬意を促進しようとする、継続的な取り組みの一端を示すものといえるでしょう。