ヨーロッパの歴史

スペイン異端審問所:法王と国王、どちらが強い権限を持っていたのか?

答えは「国王」です。

スペイン異端審問所とは

スペイン異端審問所は、1478年にカスティーリャ女王イサベル1世とアラゴン王フェルナンド2世(両者は結婚によりスペイン王国の基礎を築いた「カトリック両王」)によって設立された宗教裁判機関です。その当初の目的は、自国の領内においてカトリックの正統な教義を維持することにありました。異端とみなされた者を裁き、信仰の一元化を図るための組織でした。

この異端審問所は、約350年間にわたって存続し、1834年についに廃止されました。ヨーロッパ史上最も長く続いた宗教裁判制度の一つとして知られています。

法王と国王、権限はどちらが上だったのか

一般的なイメージでは、異端審問といえばローマ法王(教皇)の強い支配下にある組織と思われがちですが、スペイン異端審問所については事情が異なります。実際には、スペインの国王の方が法王よりもはるかに大きな実権を握っていました。

確かに法王も一定の影響力を持っていましたが、スペイン君主たちの支配力はそれを大きく上回っていたのです。具体的には、以下のような点で国王側の優位性が際立っています。

  • 人事権:異端審問官などの構成メンバーの任命権を国王が握っていた。
  • 財政権:異端審問所の予算を国王が管理・統制していた。
  • 拒否権:異端審問所の決定に対して、国王が拒否権を行使できる立場にあった。

まとめ

このように、スペイン異端審問所は名目上は教会の組織でありながら、実質的にはスペイン王室の強いコントロール下に置かれた国家機関に近い存在でした。これは、中世から近世にかけてのスペインにおいて、王権が教皇庁に対して相対的に強い立場を保っていたことを示す好例といえるでしょう。