古代の歴史

ドマニシ遺跡|ジョージアで発見された最古級の人類化石

ドマニシ(Dmanisi)は、南コーカサスに位置するジョージア(グルジア)南部にある古人類学の発掘遺跡です。1991年には、ホモ・エレクトス(Homo erectus)と解剖学的な類似性を持つ人類の顎骨と歯が発見され、世界中の人類学界に大きな衝撃を与えました。

ドマニシ遺跡の場所と調査の歴史

ドマニシは、首都トビリシから南西約85kmの地点に位置し、マシャヴェラ川とピネザウリ川の合流点を見下ろす岬に中世の村が広がっています。この遺跡の考古学的調査は1930年代に始まりましたが、本格的な体系的発掘が実施されるようになったのは1980年代に入ってからのことです。

発掘が進むにつれて、中世の pit(穴)や貯蔵庫(セラー)が、先史時代の動物骨を含む堆積層の中に掘り込まれていたことが明らかになりました。

人類化石の発見

1991年に出土した顎骨に加えて、1999年には2つの頭蓋骨が回収されました。これらの化石は、比較的小さな脳容量、平坦な額、低い頭蓋骨の輪郭といった、ホモ・エレクトスに典型的な形質を備えています。実際、その形態は東アフリカで出土した同年代の標本と非常によく似ています。

年代測定と学術的な意義

動物や人類の骨、そして多数の粗末な石器(ピックや剥片)は、放射線年代測定により約185万年前の火山灰層と砂質堆積物から出土したことが判明しています。さらに別の年代測定法によれば、下顎骨と頭蓋骨は約170万年前に、流水によってこの遺跡へ運ばれたと考えられています。

つまりドマニシは、ユーラシア大陸全体でも最古級の人類の居住地の一つであり、東アフリカにおける最古のホモ・エレクトスの産地とほぼ同時代にあたります。このため、ドマニシは人類進化の研究において今なお極めて重要な遺跡であり続けているのです。

分類をめぐる論争

ドマニシ出土の人類化石の分類については、研究者コミュニティの間で今も議論が続いています。頭蓋骨の顔面の特徴と歯列にはホモ・ハビリス(Homo habilis)と共通する形質がいくつか見られる一方で、頭蓋内腔(脳函)にはホモ・エレクトスに特有の多くの特徴が認められます。

これらの成果を報告した研究者たちは、ホモ属にはただ一つの系統しか存在せず、それがアフリカから他の大陸へと拡散したのだと結論付けました。言い換えれば、ホモ属の初期の進化(ホモ・ハビリス、ホモ・エレクトスなど)は、異なる複数の種によるものではなく、同一種内の変異として理解されるべきだという主張です。この説は、従来の人類進化の系統像を見直すきっかけとなり、現在でも活発な研究と議論の対象となっています。