古代の歴史

なぜダチョウが紋章にあるの?実は「存在しない」という意外な真実

「なぜダチョウが紋章にあるのだろう?」——動物の紋章に興味を持った人なら、一度はこんな疑問を抱いたことがあるかもしれません。しかし結論から言うと、現在、ダチョウを国の紋章(コート・オブ・アームズ)に採用している国は一つもありません。

ダチョウと勘違いされやすい「エミュー」

この疑問が生まれる背景には、オーストラリアの国章が関係していると考えられます。オーストラリアの紋章には、カンガルーとともにエミューという大型の飛べない鳥が描かれています。ダチョウに似た姿のため、「あれはダチョウでは?」と誤解されることが非常に多いのです。

エミューはダチョウとは別の仲間で、オーストラリア固有の鳥です。体高は約1.5〜1.9メートルほどで、世界最大の鳥であるダチョウ(約2.5メートル)よりひと回り小さく、首や脚の色などの特徴にも違いがあります。

なぜカンガルーとエミューなのか?

オーストラリアの紋章にこの2匹が選ばれた理由としてよく語られるのが、「どちらも後ろへ下がって歩くことがない動物だから」という逸話です。「国家が常に前進し続けること」を象徴する意味が込められていると言われています。

さらに、両種ともオーストラリア大陸固有の動物であり、国土への誇りを表すシンボルとしてふさわしかったことも、選ばれた大きな理由です。

ダチョウは紋章文化と無縁なのか?

国の紋章には採用されていませんが、ダチョウがヨーロッパの紋章文化と完全に無関係というわけではありません。中世ヨーロッパでは、ダチョウの羽根が騎士道の象徴として珍重されてきました。

特に有名なのが、イギリス王位継承者「プリンス・オブ・ウェールズ」の紋章として知られる三本の白いダチョウの羽根です。14世紀の黒太子エドワードに由来するとされるこの意匠は、現在でもウェールズ公のバッジとして受け継がれています。また、一部の都市や貴族の家門の紋章には、ダチョウそのものやその羽根が意匠として取り入れられています。

まとめ

ダチョウを国の紋章に持つ国は存在せず、ダチョウと見間違えられやすいのは、オーストラリアの国章に描かれた「エミュー」です。ただし羽根のモチーフとしては、プリンス・オブ・ウェールズの紋章など、ヨーロッパの紋章文化の中で長く親しまれてきた歴史があります。動物の紋章を調べるときは、見た目が似た別の動物ではないか、一度立ち止まって確認してみるのも面白いかもしれません。