ローマ帝国は皇帝トラヤヌス(在位98年〜117年)の治世において、歴史上最大の版図を誇ることになりました。その治世の終わりまでに帝国へ新たに組み込まれた主な地域は、次の3つです。
1. ダキア(現在のルーマニア)
トラヤヌスは2度にわたるダキア戦争(101年〜102年、105年〜106年)によってダキア王国を征服しました。この勝利を記念して建てられた「トラヤヌスの記念柱」は、現在もローマ市内に残り、当時の戦いの様子を今に伝えています。
2. アラビア・ペトラエア(現在のヨルダン)
106年にはナバテア王国を併合し、アラビア・ペトラエア属州を設置しました。これによりローマの勢力圏は紅海やシリア砂漠方面へと大きく広がり、東方交易路への影響力も強まりました。
3. メソポタミア(現在のイラク)
115年にはパルティアとの戦争でメソポタミアを征服し、一時的に帝国領としました。しかし、この遠隔地の統治は維持が困難で、後継者のハドリアヌス帝の時代に放棄されることになります。
トラヤヌスは「最良の皇帝(オプティムス・プリンケプス)」と称えられ、彼の治世にローマ帝国は最大の領土を達成しました。ただし、メソポタミアのように短期間で手放された地域もあるなど、拡大のすべてが長続きしたわけではありません。