紀元79年のローマ帝国の皇帝は誰?
紀元79年、ローマ帝国を統治していたのは、フラウィウス朝第2代皇帝ティトゥス(Titus Flavius Vespasianus)です。同年6月に父ウェスパシアヌス帝が死去すると帝位を継承し、81年に亡くなるまでの約2年間、帝国の頂点に立ちました。
ユダヤ戦争とエルサレム第二神殿の破壊
ティトゥスの名を歴史に刻んだ最も有名な出来事は、ユダヤ地方で起こった反乱(第一次ユダヤ・ローマ戦争)の鎮圧です。当時皇太子だったティトゥスはローマ軍を率いてエルサレムを包囲し、紀元70年に同市を陥落させました。この際、ユダヤ教の信仰の中心である第二神殿が破壊され、これはユダヤ民族の歴史において決定的な転換点となりました。この戦勝を記念して建てられた「ティトゥスの凱旋門」は、現在もローマ市内に姿を残しています。
コロッセオ(フラウィウス円形劇場)の完成
ティトゥスのもう一つの重要な功績が、ローマのコロッセオ(フラウィウス円形劇場)の建設です。工事は父ウェスパシアヌスの時代に着手され、80年にティトゥスの手によって完成・開場しました。数万人もの観客を収容できたこの巨大な円形競技場では、剣闘士試合や猛獣との戦いなどが催され、市民の熱狂的な支持を集めたといわれています。コロッセオは2000年近く経った今もなお、古代ローマ文明を象徴する世界屈指の名建築として多くの人々を魅了し続けています。
短い治世に残された足跡
ティトゥスの在位期間は79年から81年と非常に短く、在位中にはペストの流行や Vesuvius(ヴェスヴィオ火山)の大噴火によるポンペイの埋没といった災害も発生しましたが、寛容で親しみやすい人格から「ローマ民の愛する皇帝」と称えられました。81年に39歳で急逝した後、帝位は弟のドミティアヌスが継承しています。