人類とネアンデルタール人は交わっていたのか?
初期の人類はネアンデルタール人と性的な関係を持っていたのだろうか?そして何より重要なのは、その間に子孫が生まれていたのかどうかだ。ドイツの研究チームが新しいDNA分析を実施した結果、「おそらくなかった」という結論に達した。ネアンデルタール人の骨から検出されたヒトのDNA――種間交配の決定的証拠とされていたもの――は、実は発掘作業の際に付着したものだったというのである。
なぜ「混血説」が問題になるのか
今日、ネアンデルタール人の復元画像を見ても、すぐには「性」を連想しないかもしれない。しかし美意識は時代とともに変わり続けるものだ。だからこそ、絶滅した人類の一種であるネアンデルタール人を目にした我々の祖先が、彼らに魅力を感じた可能性を問うのは、決して馬鹿げた質問ではない。
さらに重要な問いはこうだ。両者の間に子孫は生まれたのか?もしそうであれば、それは人類の進化の過程や、ネアンデルタール人が絶滅に至った謎にも大きな影響を与えていたはずだ。
ハイブリッド頭蓋骨をめぐる論争
このテーマをめぐって科学者の間では激しい論争が繰り広げられてきた。米セントルイス大学のエリック・トリンカウス氏は、過去に発見した奇妙な形状の頭蓋骨について、それらは人類とネアンデルタール人の間に生まれた「ハイブリッド(混血)」の子どものものだと主張してきた。この説には多くの考古学者が強く反発していた。
ところが2003年、トリンカウス氏はついにDNAによる裏付けを提示する。彼が発見した化石からは、ヒトとネアンデルタール人のDNAがほどよく混ざって検出されたのだ。これでもう、人類がネアンデルタール人と交わり、混血の子をもうけていたことは避けられない事実のように思われた。
パーボ博士の新たな証拠
一方、スヴァンテ・パーボ博士は「人類は確かにネアンデルタール人と性的関係を持ったかもしれないが、混血の子孫は残らなかった」と考える研究者だ。そして今回、彼はこの主張を裏付ける新たな証拠を手に入れた。
パーボ博士によれば、トリンカウス氏がネアンデルタール人の骨から見つけたヒトのDNAは、単純に発掘作業中に付着したものだという。このことを実証する新しいDNA検査の結果は、学術誌『Current Biology』に発表された。
DNAの「長さ」が真実を暴く
この新しいDNA検査の鍵となるのは、非常に短いDNA断片と長いDNA断片を区別できる点だ。これは極めて重要である。なぜなら、3万年前のDNAは多くの場合、細かく断片化した状態でしか残っていないからだ。一方、例えば鼻を触った指などに付く「新鮮な」現代人のDNAは、はるかに長い断片で構成されている。
ロシア・コステンキの標本で実証
パーボ博士は同僚たちとともにロシアのコステンキで発見したネアンデルタール人の個体について、このDNA検査を実施した。この個体からも当初はヒトのDNAの一部が検出され、一見すると混血の証拠のように思えた。
しかし、新しい手法でDNA断片の長さを測定してみると、驚くべき事実が判明した。ほぼすべての「長い」断片はヒトのDNAであり、「短い」断片こそが古くて断片化した本物のネアンデルタール人のDNAだったのである。つまり、検出されたヒトのDNAは新しく、おそらく発掘時に考古学者たちが骨に触れたことで付着したものだったのだ。
トリンカウス氏が見つけたヒトのDNAも、同じ経緯で付着した可能性が高い。ひょっとすると、それは彼自身のDNAだったかもしれない。
数年前には不可能だった分析
数年前のDNA検査はそこまで精密ではなかった。DNAコードが多数の小さな断片でできているのか、少数の大きな断片でできているのかを判定することは困難だったのだ。パーボ博士はプレスリリースの中で、わずか1年前までは、ネアンデルタール人の骨へのヒトDNA汚染を検出するには、発掘に関わった全員からDNAサンプルを採取するしか方法がないと考えていたと明かしている。発掘チームから一人でも欠ければ意味をなさない、非現実的な作業だ。
今後の考古学への貢献
ネアンデルタール人との関係をめぐる騒動はさておき、パーボ博士の発見は今後の考古学にとって非常に有用だ。考古学者がDNA検査を行う際、見つかったDNAが本当に古代のものかどうかを確認できるようになったからだ。
パーボ博士自身は、人類とネアンデルタール人が外見や身体の内部構造においてどこが異なっていたのかを解明したいと考え、現在もDNA研究を続けている。
- ネアンデルタール人(Wikipedia)
- ネアンデルタール人は現生人類と交配していた(NU.nl)
- 最古のヨーロッパ人(VPRO Noorderlicht)
- ネアンデルタール人も大きな脳を持っていた(Knowledge link記事)
- Neanderthalers.nl(ネアンデルタール人に関するオランダのサイト)