ヨーロッパの歴史

レア映像!1941年3月25日、占領前夜ギリシャ最後の祝典

レア映像!1941年3月25日、占領前夜ギリシャ最後の祝典

マリア・ボナパルト公妃が撮影した貴重な記録フィルム。将兵たちは最前線で戦っていたため、パレードに参加したのはEONの子供たちだけだった。

占領前最後の独立記念日

1941年3月25日、ギリシャは独立記念日を迎えました。1821年にオスマン帝国の支配に対する独立戦争が勃発した日を記念する、ギリシャ最大の国民的祝祭日です。しかし、この年の祝典は例年とは大きく異なるものでした。国はすでに戦争状態にあり、翌月にはドイツ軍の侵攻という悲劇が待ち受けていたのです。

公妃の手で残されたレアなフィルム

この貴重な映像を撮影したのは、マリア・ボナパルト公妃です。彼女は国王ゲオルギオス2世の叔父にあたるゲオルギオス王子の妻であり、ナポレオン家の末裔として生まれ、後にフロイトに学んだ精神分析学者としても知られる人物でした。彼女のカメラが捉えたのは、戦争の影が忍び寄る中での、静かでありながら誇り高い祝典の様子です。

前線に兵士はいない――行進したのは子供たちだけ

通常ならば軍事パレードが中心となる独立記念日ですが、この年は事情が違いました。ギリシャ軍の将兵たちは、アルバニア戦線でイタリア軍との戦いに従事していたためです。そこでパレードに参加したのは、当時の国家青年組織「EON(エオン)」に所属する少年少女たちだけでした。彼らが行進する姿は、大人たちが戦場へ赴いた祖国の姿を象徴するかのようでした。

わずか12日後、占領の時代へ

この祝典からわずか12日後の4月6日、ドイツ軍はギリシャへの侵攻を開始します。4月27日にはアテネが陥落し、ギリシャは枢軸国による占領時代へと突入しました。人々が自由に祝うことができた最後の国民的行事となったこの日を記録したフィルムは、戦前のギリシャの姿を今に伝える極めて貴重な歴史資料となっています。