パウルス・オロシウスについて、確実な史料はごく限られた期間に関するものしか残されていません。その生涯の大半は推測と憶測によって再構成されており、このため同一の事実をめぐっても見解が分かれるのが常です。 謎に包まれた出生 生誕地すら議論の対象であり、スペインのタラゴナとする説と、ポルトガルのブラガとする説が対立しています。生年も同様で、聖アウグスティヌスの言及や、当時の司祭叙任年齢をもとに、西暦383年から385年の間と推定されています。彼がどこで、どのような教育を受けたのかも、まったく不明のままです。 北アフリカへ――アウグスティヌスとの出会い 彼に関する最初の確かな記録は、西暦414年、半島