二大国の衝突――東方国境の緊張 西暦586年、ビザンツ(東ローマ)帝国とサーサーン朝ペルシアは再び戦火に包まれていた。582年に皇帝モーリスがコンスタンティノープルの帝位に就き、一方ペルシアではホルミズド4世が首都クテシフォンで支配を固めていた。両帝国の戦争はいくつもの局面を経て続いており、メソポタミア国境ではペルシア側が主導権を握っていた。これに対しモーリス帝は、584年にフィリピコスをこの方面の総司令官に任命した。 着任したフィリピコスは直ちに行動を開始し、584年と585年にニシビス周辺のペルシア領へ襲撃を繰り返した。ペルシアの将軍カルダリガンは応戦したものの、決定打を欠いたまま終わっ