サラディン(Saladin、1138年~1193年)は、クルド人の血を引く武将であり、アイユーブ朝を開いて12世紀のエジプトとシリアを支配したスルタンである。中東におけるイスラム勢力を再建し、十字軍からエルサレムを奪還した功績によって、西洋と東洋の双方で伝説的な存在となった。その名はしばしば並外れた人間的資質とも結びつけられ、敵対した西欧の人々でさえ、彼を「騎士道的」と評することをためらわなかった。1193年にダマスカスで没すると、広大な所領は三人の息子たちと弟との間で分割されたが、後世は彼に「アラブの英雄」という地位を与えることになる。 セルジューク朝に仕えた青年時代 サラーフッディーン・ユ