「長年にわたり帰国を迫ってきた者たちに、私はついに追い立てられることとなった。彼らは食料も軍資金も送ろうとしなかったのだから。こうしてハンニバルが勝利したのは、幾度も私の手で打ち破られたローマ人ではなく、嫉妬に満ちた陰謀を弄したカルタゴ元老院なのである」――カルタゴの名将は、イタリアからの召還についてこう痛烈に評した。第二次ポエニ戦争がまだ続いていたこの時点で、彼はすでにローマとの戦いの結末を予感していたのだろうか。 紀元前218年に始まった第二次ポエニ戦争は、イギリスの歴史家エイドリアン・ゴールズワージーが著書『カルタゴの滅亡 ポエニ戦争265-146BC』の中で「近代以前にはほとんど例を見