ドゥニ・ディドロ(Denis Diderot)は、18世紀フランスを代表する知性の一人でありながら、その名が『百科全書』に強く結びつけられているためか、啓蒙時代の思想家として真っ先に思い浮かべられる存在ではありません。ヴォルテールやジャン=ジャック・ルソーと比べると、その知名度は一段低いと言わざるを得ません。しかし、ルソーがその博識ぶりを称えて「万能の頭脳」と呼んだこの人物は、同時代の著名な思想家たちに決して引けを取らない、根源的な業績と思想を後世に残したのです。 自己を探し求めた若き日々 ドゥニ・ディドロは1713年10月5日、現在のオート=マルヌ県にあたるラングルで、ブルジョワの家庭に生ま