ヨーロッパ諸国が領土をめぐって争うこと自体は、決して珍しい話ではありません。しかし、その領土が存在したのがわずか5か月間だけだったとしたら……話は一変します。ここで取り上げるのは、グラハム島、ジュリア島、あるいはフェルディナンデア島——主権を争った国によって呼び名が異なるこの島です。その正体はエンペドクレスと呼ばれる大型の海底火山で、シチリア島の南約30キロメートルの海域に位置し、山頂は海面から数メートルのところまで迫っています。名前の由来は古代ギリシャの哲学者エンペドクレスです。噴火によって一時的に島として姿を現した最古の記録は、紀元前3世紀の第一次ポエニ戦争の時代にまでさかのぼります。18