ゼノビア(その名はギリシャ語の「ゼウス」と「ビオス=生命」に由来する)は、古代末期において最も謎めいた人物の一人である。西暦240年頃に生まれた彼女は、自らをエジプトのクレオパトラの子孫と称し、プトレマイオス朝の血を引くと主張していた。この由緒は、ローマの歴史書『皇帝列伝(ヒストリア・アウグスタ)』にも記されている。また、ギリシャ語・アラム語・ラテン語に通じた才媛でもあった。彼女は、当時ローマの支配下にあったシリアの商業都市パルミラの領主オダエナトスと結婚した。夫オダエナトスの死と権力掌握ところが260年、皇帝ウァレリアヌスがペルシア(サーサーン朝)軍に敗れて捕虜となるという大事件が起こる。ペ