ジャン=レオン・ジェローム「ローマの奴隷市場」(1884年)。奴隷は「レス(res)」すなわち「物」とみなされ、売買の対象となった。「奴隷を買う」という日常的な現実「奴隷を買う」という表現は、現代の私たちには身の毛もよだつ響きを持ちます。しかしローマ時代において、それはごくありふれた日常を指す言葉でした。どれほど壮麗に評価しようとも、ローマは偉大な功績だけを意味するものではなく、今日の価値観はもちろん、ごく一部ではあれ過去の諸文明の思想からさえも遠くかけ離れた、決して称賛できない側面を併せ持っていたのです。「物」としての奴隷――権利なき存在ローマにおいて奴隷は、最も基本的な権利を含むあらゆる権