1755年、諸聖人の日は土曜日にあたりました。誰もが、その11月の朝が美しかったと証言しています。澄みわたる空気、青空、降り注ぐ陽光。ここ数週間の好天がこのまま続き、リスボン市民は秋の小春日和を満喫できるだろうと予感させていました。この季節の穏やかな陽射しは、実は現代においても秋のリスボンの魅力のひとつとされています。旧約聖書さながらの大災厄生存者の回想によれば、教会の鐘が午前9時30分を告げてまもなく、遠雷にも似た、低くうなるような音が響いたといいます。「重い荷馬車が街路を駆け抜けるような音だ」と表現した人もいました。しかしその音は、西欧近代史上最強の地震の幕開きを告げる、ほんの序奏にすぎま