退位がもたらす「影」の問題国王が王位を退くとき、必ずといっていいほど浮上するのが、その人物の存在や活動が新君主や国家に及ぼしうる「影」の問題である。この頭痛の種を最も如実に示した例のひとつが、イギリス国王エドワード8世のケースだろう。王冠を捨てた国王本稿では、アメリカ人離婚歴のある女性ウォリス・シンプソンとの恋愛、そして彼女を王妃として受け入れようとしないイギリス世論に押され、エドワードが1936年12月11日に退位し、弟ジョージ(映画『英国王のスピーチ』で有名なあの国王である)が即位したという周知の経緯には立ち入らない。むしろ注目したいのは、両大戦間期から第二次世界大戦にかけてのエドワードの