幼少期のルイ14世。フィリップ・ド・シャンパーニュ(模写)© PARIS MUSEES / カルナヴァレ美術館1638年、フランスの民にとって王太子(ドーファン)の誕生はまさに奇跡であった。後継者を待った歳月は実に23年。両親はすでに36歳を超え、国王ルイ13世の健康は不安定で、王妃アンヌ・ドートリッシュは幾度も流産を重ねていた。それでも子は無事に生まれ、「神より授かりし子(デュードネ)」と呼ばれた。この誕生は、母アンヌにとって離縁という最悪の事態を免れる確かな保証となったのである。未来のルイ14世の誕生は、アンヌその人を一変させた。かつては軽薄と見られ、無謀にも陰謀に自らの名を貸したこともあ