コンスタンティヌス・アフリカヌス(Constantinus Africanus)の生涯は、冒険小説や映画の脚本さながらのドラマチックなものだった。イスラム教徒として生まれ、キリスト教に改宗し、近東からインドに至る広範な地域を遊学して医学を修め、アラビア語とギリシャ語の医学書をラテン語へ翻訳し、晩年はイタリアの修道士として生涯を閉じた。宗教、知識、冒険が交錯する稀有な人生である。 出自と若き日の遊学 生年は1020年頃と推定されるが、正確な出生地は不明だ。カルタゴ(現チュニジア)あるいはシチリア島の可能性があり、その家系はポエニ人(カルタゴ人)の末裔とされる。いずれにせよ、当時両地域ともアラブ