一夜にして故郷を失った少女75歳のドイツ人女性、ヒルデガルデ・フィンク。彼女が幼少期に味わったのは、今日のチェコにあたるズデーテン地方の町ロステルニッツからの、家族ぐるみの強制追放だった。ドイツの敗戦から数か月後、当時5歳だった彼女は、ナチス・ドイツの「ドイツ人」であったことの代償を払う側へと回った。一夜にして家を追われ、中央・東欧各地から追い立てられる何千というドイツ人たちとともに、行方も告げられぬまま旅立ったのである。フィンクにとってこの経験は、今なお記憶の中で最も恐ろしい出来事であり続けている。だが1990年代初頭、ドイツ再統一が果たされた後ですら、彼女はどこか異邦人のように感じられたと