マーティン・スコセッシが『ギャング・オブ・ニューヨーク』(2002年)で挑んだように、『メソポタミアのギャング』という作品も作れたかもしれない。舞台となるのは、ウル第三王朝が滅亡し、シュメール人の世界がほぼ忘れ去られた激動の時代だ。二つの大河沿いの都市々々は、軍閥の長、野心に燃える小国王、そしてマフィアさながらに振る舞う無慈悲な将軍たちの温床と化していた。小さな町は軍を起こして隣国を征服し、別の都市は交易の力で頭角を現した。その後者の代表格こそ、伝説のマリである。商業と贅沢の都マリ古来、マリは商業と贅沢の中心地だった。アッカドのサルゴンがこの街を支配下に置き、その孫ナルム・シンは街を灰燼に帰し