摺鉢山――硫黄島攻略の象徴標高約170メートルの荒々しい火山、摺鉢山。海側へ切り立つ急斜面を持つこの山は、硫黄島防衛上の要というわけではなかった。しかし砲兵にとって絶好の観測点であり射撃陣地でもあり、その威容から、これを支配する者がすなわち島全体を制することになる象徴的な存在でもあった。早晩孤立することを見越していた栗林中将は、この山の防衛にわずか1,860名しか配属しなかった。それでも山麓には数百のトーチカ、コンクリート製掩蔽壕、偽装された火砲が設置され、斜面には縦横無尽に入り組んだ坑道と洞窟の迷宮が張り巡らされていた。星条旗が掲げられた瞬間いつものように、各陣地は迫撃砲、戦車、ロケット弾、