ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『デカメロン』、1916年。英国レディ・リーヴァー美術館蔵(Wikimedia Commons / Lady Lever Art Gallery)ジョヴァンニ・ボッカッチョ(1313~1375年)は、イタリア語という言語の創始者の一人とされる作家です。ダンテが詩という形式を選んでイタリア語を確立したのに対し、ボッカッチョは主に散文でこの言語を使いこなしました。その代表作こそ、1348年のペスト(黒死病)大流行のさなかに執筆された有名な短編集『デカメロン』です。イタリア人商人を父に持つボッカッチョは、フィレンツェで知的な教育を受けた後、1327年にナポリへ移り