福音書に描かれた「人民の選択」正典福音書によれば、ユダヤ総督ポンティウス・ピラトは、民衆に対してイエスか、あるいは投獄されていた活動家バラバのどちらか一方を釈放するよう提案したと伝えられています。興味深いのは、「bar-abbas(父の子)」というバラバの名そのものです。「神の子」と宣言されたイエス・キリストの対極的な存在、いわば「分身」として彼を浮き彫りにするこの呼び名は、初期キリスト教徒にとって都合が悪かったためか、教父たちはこれを「bar-rabbi(師の子)」へと修正しようと試みました。マルコによる福音書が語る反乱者西暦71年から75年頃に成立した『マルコによる福音書』は、バラバを、暴