世界史

歴史物語

  • 禁酒法の本場は北欧だった? スウェーデン・フィンランド・アイスランドの禁酒運動史

    禁酒法といえばアメリカ、しかし本当の「成功例」は北欧にあった 禁酒法(プロヒビション)というと、戦間期のアメリカ史における失敗談を思い浮かべる人が多いでしょう。ところが実際には、禁酒運動が最も大きな成果を上げたのは海の向こうではなく、ヨーロッパ北部のスカンジナビア諸国でした。しかもその名残は、今日まで北欧各地に残っているのです。 19世紀から続く北欧の禁酒運動 節制・禁酒運動は、19世紀から20世紀前半にかけてヨーロッパ全土で広まりましたが、中でも特に根強く、長く影響力を保ったのが北欧諸国です。この地域で最初の禁酒協会は、1819年にスウェーデンのヴェクショーで設立されました。その後、協会は

  • 敵の頭蓋骨で作られた杯――中世を震わせた不気味な「応用芸術」

    はじめに:宴と杯、そして暗すぎる伝統祝賀の場に欠かせない乾杯。それを彩るのはさまざまな器です。では、中世の支配者たち――とりわけいわゆる「蛮族」と呼ばれた民族の王たちは、どんな器から酒を口にしていたのでしょうか。そこには現代人には想像しがたい、極めて特異な習慣が存在していました。頭蓋骨といえば、ゴシックな雰囲気、シェイクスピア『ハムレット』の有名な場面、あるいは死神のイメージなど、暗く不穏なものを連想しがちです。しかし忘れてならないのは、頭蓋骨(特にその天蓋部分)が、脳という器官を収めるためにできた、密閉性の高い「容器」だという事実です。この特性に目をつけると、一部の勝利の君主たちが培ってきた

  • ギリシャ神話の主役!全能の大神ゼウス(ユピテル)とは?

    ギリシャ神話の最高神ゼウスは、神話のほぼすべての物語に登場する中心的な存在です。ヘシオドスの『神統記』『労働の日々』、アイスキュロスの悲劇『アガメムノン』、ウェルギリウスの『アエネーイス』など、世界文学の名作にもその姿が描かれています。 ギリシャ神話といえば、ゼウスが浮気をし、正妻ヘラが怒り、生まれた子供たちが大騒動を巻き起こす――そんな展開がお約束です。近年では『パズル&ドラゴンズ』などのゲームでも大人気キャラクターとして活躍していますね。 この記事では、オリュンポス十二神の中心であり、ローマ神話ではユピテル(ジュピター)として知られる大神ゼウスについて、誕生の逸話から後世への影響まで詳し

  • ギリシャ神話の太陽神アポロンとは?ゼウスの息子が歩んだ壮絶な伝説を解説

    私の好きなゲームは「サガシリーズ」ですが、中でも『サガ2』は最高傑作の一つだと思っています。唯一の難点を挙げるなら、ラストボスである防衛システムの存在感が薄かったこと。ラストボスでありながら、直前のボスの方が圧倒的に強く感じられたのです。 そして本作で最強の敵として立ちはだかったのがアポロンでした。アイギスの盾であらゆる攻撃を防ぎ、全属性の攻撃を無効化し、状態異常も受け付けないまま、最強魔法「フレア」を放ってくる恐るべき相手です。 何度全滅させられたことか……。 当時小学生だった私は、アポロンとはゲームに登場するキャラクターだとばかり思っていました。ところが小学校の遠足で訪れたプラネタリウム

  • メガテン・ペルソナでおなじみ!運命の三女神クロト・ラケシス・アトロポスとは何者なのか?

    アトラスの『女神転生』シリーズや『ペルソナ』シリーズにほぼ必ず登場する運命の三女神——クロト、ラケシス、アトロポス。ゲーム内ではこの3体を合体させると「ノルン」が誕生することでも知られています。今回は、そんな運命の三女神について詳しく解説していきます。 ゼウスすら逆らえない、運命の三女神の決定 三女神の親は誰なのか? 運命の三女神の父母が誰なのかについては、古代から定説がありません。 古代ギリシャの詩人ヘーシオドスは、三女神を夜の女王ニュクスの娘としています。そう、『ペルソナ3』のラストボスとしておなじみのニュクスです。 『ペルソナ3』におけるニュクス同様、「死」という概念そのものであるとさ

  • 狩猟と貞潔を司る月の女神アルテミス(ディアナ)とは?誕生からオライオンの悲恋まで

    アルテミスは、ゼウスやアポロンと並ぶオリュンポス十二神の一柱で、狩猟と貞潔を司る女神です。 双子の兄アポロンが太陽神であるのに対し、アルテミスは月の女神とされています。ローマ神話では同じ神が「ディアナ(英語ではダイアナ)」と呼ばれ、英語圏では非常に馴染み深い名前となっています。 歌手のダイアナ・ロスや、故ダイアナ元皇太子妃など、有名な「ダイアナ」は数多く存在します。また、マイケル・ジャクソンの楽曲「Dirty Diana」もよく知られており、この曲はダイアナ・ロスについて歌われたものだと言われています。 今回は、そんなアルテミス(ディアナ)について詳しく見ていきましょう。 ゼウスとレトの娘と

  • 戦いの神アレス(マルス)――なぜギリシャでは不人気なのに、ローマでは大人気だったのか?

    ファイアーエムブレムの初代主人公の名前が「マルス」だと後から知り、その名前が実は軍神マルスに由来していたと気づいた、という話があります。 この神はギリシャでは「アレス」、ローマでは「マルス」と呼ばれます。ローマで人気の高い名前「マルクス」もマルスに由来しており、初代ローマ王ロムルスがマルスの子であるという伝承まで残っています。 また、惑星の火星を表す「Mars」はマルスの英語読みであり、英語の「March(3月)」もマルスにちなんだ言葉です。さらに彼には「グラディウス」という別名もあります。 RPGなどでよく登場する「グラディウス」という名前はここから来ています。シューティングゲームのタイト

  • 【対応表あり】ギリシャ神話オリュンポス12神を徹底解説!ギリシャ・ローマ・英語名の対照一覧

    ギリシャには「オリュンポス山」と呼ばれる険しい山があり、神々はそこに住んでいると信じられていました。 大神ゼウスをはじめとする、ティタン神族に続く主要な神々は、ギリシャ国内だけでなく周辺地域においても「オリュンポス十二神」として広く信仰を集めました。後に大帝国を築いたローマもその影響を強く受け、ギリシャの神々はローマの神々の姿へと姿を変えながら受け継がれていきます。 ローマにおける十二神への信仰は、他民族や他宗教に対する寛容さにつながり、その統治体制にも大きな影響を与えたと言われています。 今回は、そんなオリュンポス十二神について詳しく見ていきましょう! オリュンポス十二神の一覧と対応表 ギ

  • ゼウスの姉!オリュンポス十二神・炉の火の女神ヘスティアについて

    今回は、オリュンポス十二神のひとりであるヘスティアについてご紹介します。 クロノスとレアの長女、ゼウスの姉 ヘスティアは、ティタン神族の王クロノスと母神レアの間に生まれた最初の子ども、つまり長女です。 クロノス自身は父ウラノスを打倒して王位についたのですが、「自分もいつか子どもに倒されるのではないか」という恐怖にとらわれ、レアとの間に生まれた子どもたちを次々と飲み込んでしまいました。 その最初の犠牲となったのが、このヘスティアだったのです。 後に生まれたゼウスは、クロノスに飲み込まれた兄弟姉妹たちを救い出し、力を合わせて強大な父神に立ち向かいました。 激しい戦いの末、ゼウスたちは勝利を収め、

  • ゼウスの妻「ヘラ」とは?誕生・結婚の経緯と嫉妬の女神と呼ばれる理由

    ギリシャ神話といえばゼウス。神々の王ゼウスは物語のほぼすべてに登場するほどの存在ですが、一方で「ゼウスが浮気をして、妻のヘラが激怒する」という展開は、ギリシャ神話におけるほぼ定番のパターンとなっています。今回は、そんなヘラについて詳しくご紹介します。 誕生と結婚 ヘラは、ティタン神族のクロノスとレアの娘として生まれました。そして後にゼウスと結婚します。ところが、ゼウス自身もクロノスとレアの息子です。つまり、ゼウスは実の姉にあたるヘラと結婚したことになります。 兄弟姉妹同士の結婚は、古代ギリシャ世界では決して珍しいことではありませんでした。エジプトを支配したギリシャ系の王朝、プトレマイオス朝

  • ゼウスの娘アテナ(ミネルヴァ)とは?誕生の秘密とアイギスの盾の伝説

    ゼウスの娘アテナ――知恵と戦いの女神 アテナ(ローマ名:ミネルヴァ、英語名:Minerva)は、ギリシャ神話のオリュンポス十二神の一柱であり、民主主義の礎を築いた古代ギリシャ最大の都市国家(ポリス)アテネの守護神として、ギリシャ人から深く敬愛された女神です。 本記事では、この戦いの女神アテナの誕生の秘密と、彼女を象徴する「アイギスの盾」にまつわる伝説について、詳しく解説していきます。 アテナの誕生――父の額から生まれた女神 アテナは、ゼウスとその最初の妻であるメティス(知恵の女神)の間に生まれた娘ですが、その誕生の経緯は、オリュンポス十二神の中でも、ひいてはギリシャ神話全体の中でも際立って特

  • ギリシャ神話のトリックスター!ヘルメス(マーキュリー)とはどんな神?

    ギリシャ語で「ヘルメス」、ローマではラテン語で「メルクリウス」、英語では「マーキュリー」、フランス語では「エルメス」。どこかで一度は耳にしたことのある名前を持つこの神こそ、ギリシャ神話における「ヘルメス」です。近年大ヒットした映画『ボヘミアン・ラプソディ』のフレディ・マーキュリー、フランスの名門ブランド「エルメス」の創業者ティエリ・エルメスなど、ヘルメスを語源とする名前は数多く存在します。今回は、そんな「ヘルメス」という神の物語をご紹介します。泥棒?伝令?発明?死への案内人?——ヘルメスの役割とはギリシャ神話の神々は、それぞれ明確な役割を与えられています。例えば、ヘスティアは炉の火、アレスは戦

  • 美の女神ヴィーナス(アフロディーテ)とは?ギリシャ神話の美と愛の女神を解説

    美の女神の名前は呼び方がいろいろ 美の女神は、ギリシャ名では「アフロディーテ」、古代ローマで使われたラテン語では「ウェヌス(ヴィーナス)」、英語でも「ヴィーナス」と呼ばれ、すべて同じ神を指しています。 他の記事ではギリシャ名の「アフロディーテ」を使うことが多いのですが、個人的には「ヴィーナス」という響きが一番しっくりくるので、このブログでは「ヴィーナス」と呼ぶことにします! ゲーム『ロマンシング サガ2』のボスとしても有名 私がまだ小学生だった頃、『ロマンシング サガ2』というゲームがあり、そこに登場するボスの一人がヴィーナスでした。 ヴィーナスはゲーム中盤の大きな壁となる強敵で、当時小学生

  • 実は超重要!豊穣の女神デメテル(ケレス)とは?ギリシャ神話における「冬」の起源

    ゼウスの名前は誰もが知っていますが、その姉であるデメテルを知っている人は意外と少ないかもしれません。今回は、ゼウスと同じくオリュンポス十二神の一柱である豊穣の女神「デメテル」についてご紹介します。ゼウスの姉であり、大地母神の血を受け継ぐ女神デメテルは、クロノスとレアの娘として生まれました。弟のゼウスも同じくクロノスとレアの子です。つまり、デメテルはゼウスの実の姉にあたります。しかし、ギリシャ神話の世界では、この姉弟関係は少し複雑です。ゼウスはデメテルに対して無理やり関係を持ったとされ、その結果、デメテルは春の女神ペルセポネを出産します。世界には多くの女性がいますが、ゼウスに敵う者はいません。さ

  • 妻の浮気と母の愛情不足に苦しんだ火の神ヘーパイストス(ウルカヌス/バルカン)とは

    ギリシャ神話の火の神ヘーパイストスは、おそらく最も恵まれた神であると同時に、最も不遇な神でもあります。 オリンポス十二神の一柱であり、主神ゼウスの息子でありながら、なぜ彼は「不幸」と呼ばれるのでしょうか。 今回はその理由を紐解いていきます。 母ヘラに捨てられた醜い神 ヘーパイストスは、ギリシャ神話の主役とも言うべきゼウスと、その正妻ヘラとの間に生まれました。 ヘラといえば、夫ゼウスが浮気を重ねるたびに激怒し、その相手の女性や生まれた子どもを執拗に迫害したことで有名です。もしそんな仕打ちを受けていなければ、ヘーパイストスは順風満帆な神人生を送れたはずでした。 ところが皮肉なことに、ヘラの怒りを

  • 怒ると怖い!ゼウスの弟・海の神ポセイドン(ネプチューン)の正体とは?

    「ネプチューン」――それはお笑いコンビの名前ではなく、ギリシャ神話の海の神ポセイドンを、ローマ神話で呼ぶときの名前です。 今回は、主神ゼウスの弟にあたり、オリュンポス十二神の一柱でもあるポセイドンについて、詳しく見ていきましょう。 ポセイドンの誕生~海の神になるまで ポセイドンは、大神ゼウスやヘラ、ヘスティアと同じく、クロノスとレアの息子で、兄弟の中では次男にあたります。 ゼウスの記事でも触れたように、クロノスは「いつか自分の子供に滅ぼされるのではないか」という恐れから、生まれてくる子供を次々と飲み込んでしまいました。 しかし、奇跡的に難を逃れたゼウスがクロノスに薬を飲ませたことで、ポセイド

  • 実はゼウスの長兄!冥界の王ハデス(冥王星プルート)と春の女神ペルセポネの神話

    オリュンポス十二神に入るのか?ハデスをめぐる論争ギリシャ神話の主神といえばオリュンポス十二神ですが、実は「12」という枠には候補が12人以上います。その中でも古くから議論されてきたのが、ゼウスやポセイドンの兄弟である冥界の王ハデスを十二神に含めるべきかどうかという問題です。今回は、ローマ名でプルートー、英語ではPluto(冥王星の名前の由来)とも呼ばれるハデスについて、詳しく見ていきましょう。クロノスとレアの子どもたち、ゼウス家の長兄父ウラノスを打倒したクロノスは、いつか自分も我が子に殺されるのではないかという恐怖に苛まれていました。「父殺し(パトリサイド)」は、古代ギリシャのオイディプス王か

  • 第10章 リグ・ヴェーダの社会と宗教

    リグ・ヴェーダ時代のアーリヤ人の宗教生活 リグ・ヴェーダ時代のアーリヤ人の生活は徹底して宗教的でした。生活のあらゆる側面が深く宗教によって刻まれており、当時の宗教は非常に高度な段階にあり、自然諸力とそれらを司る神々が崇拝されていました。したがって、リグ・ヴェーダ時代のアーリヤ人の宗教は多神教的性格を帯びていました。 リグ・ヴェーダ宗教の特徴 1. 神の至上権への信仰 リグ・ヴェーダのアーリヤ人は、この世界の創造者であり維持者である神の至上存在を信じていました。当初、アーリヤ人はヴァルナを神々の神と見なしていましたが、後にインドラがその地位を占めました。さらに後には、インドラの上にも宇宙全体を

  • 第10章 リグヴェーダ社会と宗教(C):アーリヤ人の経済生活と芸術の発展

    リグヴェーダ期アーリヤ人の経済生活リグヴェーダ期アーリヤ人の経済生活はきわめてシンプルで、複雑な要素はほとんどありませんでした。初期リグヴェーダ時代の経済は主として牧畜を中心としたものであり、食料生産が主体ではなかったため、定期的な税収はごくわずかにとどまっていました。土地や穀物の寄進に関する記録も見られず、部族の絆が社会において強い力を持っていました。課税や土地所有に基づく社会階級は、この時点ではまだ成立していなかったのです。以下、この時代の経済状況を項目別に見ていきます。(1) 村の様子リグヴェーダ期のアーリヤ人は村に居住していました。リグヴェーダには都市についての言及は一切なく、村々は互

  • 第8章 南インドの巨石文化――鉄器時代の墓制と多様な巨石墓

    南インドでは、紀元前1000年頃に巨石文化が出現しました。この文化は南インドにおいて何世紀にもわたって存続しました。巨石文化とは南インドの各地から巨石が発見されています。この文化の人々は死者を墓に埋葬し、それを大きな石で覆って保護していました。このため「巨石文化(メガリシック・カルチャー)」と呼ばれます。これらの墓の発掘調査からは、鉄製の道具や武器が豊富に出土しており、鉄器時代の文化として重要な位置を占めています。巨石文化の年代巨石墓の築造の伝統は、南インドにおける鉄器時代の始まりとともに始まったと考えられています。ブラマギリ(Brahmagiri)から出土した巨石墓の年代測定は、紀元前3世紀

Total 8583 -世界史  FirstPage PreviousPage NextPage LastPage CurrentPage:404/430  20-世界史/Page Goto:1 398 399 400 401 402 403 404 405 406 407 408 409 410